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栗谷 真澄

理学部・理学系研究科の卒業生、教員からのメッセージ

※所属、肩書は掲載時のものです

栗谷 真澄(KURITANI Masumi)

栗谷 真澄
2012年東京大学大学院理学系研究科化学専攻にて博士課程を修了。同年、昭和電工(株)(現(株)レゾナック・ホールディングス)に入社後、有機ELやフラーレンなど複数の研究開発を担当。MBA海外留学を経て本社でオープンイノベーションや技術者の交流促進、企業文化醸成に従事。現在は、よりよい研究開発の仕組みの構築を行っている。

パズルと日本の歴史が好きだった小学生時代、吹奏楽に明け暮れた中学生時代を経て、理学の道に進みたいと強く思うようになったのは高校生の時でした。理学への興味が一気に強まった理由は高校の物理・化学の授業でたくさん実験を行ったこと。目の前で起こっている現象が、習ったばかりの理屈で説明されることが面白くて面白くてたまりませんでした。とくに、分子の世界は私をワクワクさせるもので、化学の方面に進みたいと感じるようになりました。

とはいえ、もともと好きだった日本の歴史ももっと知りたい気持ちもあり、化学と日本史で進路を迷いました。結果的には化学を選んだのですが、その時なりに私が考えたのは、「大学で学ぶのは高校卒業後の1回だけにする必要はない、先にどちらかを学んで、社会に出て、経済力をつけて、その後改めて大学に入ってもう一方を学べばよい。」ということ。どちらを先にするについては、当時の自分が、社会に出ている将来の自分をより想像できた化学にしました。

大学に入学後は、超分子化学・錯体化学の研究室に入り大好きな分子の世界を堪能しました。卒業後は、その分子で社会とつながりたいという思いで化学メーカーであるレゾナック(当時は昭和電工)に入社し、有機ELやフラーレンの研究を行いました。働いているうちに、研究業務以外にも興味が出てきて、ビジネススクールに留学したり、企画業務にも携わっています。一方で、高校生の時に決意した、「もう一度大学に入って日本史を学ぶ」という思いは持ち続けており、どの時代のどのようなことについて深めたいか、何十年かかけてじっくりと考えられる贅沢なフェーズに入っています。

みなさまもキャリアに迷われるシーンがたくさんあると思います。1回の判断がその後のキャリアのすべてを決めると考える必要はなくて、私のようにいろんな分野を渡り歩くこともあると思います。一方で、その時、その時でしっかりと悩むことがキャリアを進む納得感につながると思いますので、ぜひしっかりと考えてみてください。私も今後のキャリアについて考え続けます。

2024.10.31掲載