search
search

研究倫理

研究倫理綱領

平成22年9月15日 理学系研究科教授会制定

東京大学大学院理学系研究科・理学部は、大学院理学系研究科・理学部憲章に定める精神に則り、 自然界の普遍的真理を解明し、 豊かで平和な人類の未来社会を切り拓く先端的な理学の教育・研究を推進することを目指している。 すべての構成員は、憲章の理念のもとに、高い志を持って、教育と研究に臨まなければならない。 以下に示す、研究倫理綱領は、理学系研究科・理学部の構成員たる教員、職員、学生、研究員、研究生等が、 その教育・研究にあたり認識すべき考え方と遵守すべき基本的指針を示したものである。 これらは、理学系研究科・理学部で行われる教育活動(学生実験・演習・実習など)と 研究活動(理論・実験・観測研究など)のすべてに適用される。

1. 研究における誠実さ

科学の研究は、論理的思考と、自然と真摯に向き合う精神をもって行わなければならない。 自然界の真理を解明するには、実験や観測のデザイン、データの解析、結果の解釈において、 自らの先入観や偏見をできるかぎり排除し、研究対象に誠実かつ客観的に向き合わなければならない。 データのねつ造や改ざんのみならず、他者のアイデア、データ、研究成果の盗用は、 真理の解明を目指す科学者としての精神に反する行為であり、許されない。 研究が誠実に行われたかどうかについての説明責任は、その研究を行った個人にあり、 研究の目的、手段、経過、結果とその解釈のいずれについても、詐称や虚偽は許されない。 研究は、そのすべての段階について、事実に基づいた客観的な説明ができるものでなければならない。 研究活動のみでなく、教育活動においても同様の精神をもって臨まなければならない。

2. 研究の独創性

科学の研究において最も尊重されるべきことは、独創性である。 個々の独創的な研究が蓄積され、それらが人類共有の知的な財産として後世に残されることが、 自然界の真理の解明につながる。 したがって、研究者は、自らの研究とその背景となった他者の研究成果や過去の知的財産との関係を 正しく把握・認識し、自らの研究の独創性を客観的かつ正確に示せるよう努めなければならない。

3. 研究の経過と結果の正確な記録

研究が誠実に行われたことを示す最も有効な手段は、 研究のすべての段階において可能な限り正確な客観性のある記録を残すことである。 特に、結果の正当性や再現性を証明することができるデータ、研究手法・経過を記録した研究ノート、 さらに研究によっては、研究に使用した試薬や試料などを保存しなければならない。 独創的研究による結果や発見は、他者による検証に耐えてはじめて、自然界の真理として成立する。 得られた結果が再現可能なように、研究の経過と結果を正確に表現し保存することは科学研究者の義務である。

4. 責任ある公表

研究成果を報告書や論文(卒業論文、修士・博士論文、学術雑誌への投稿論文)、 あるいは講演として公表することは、その研究成果の独創性と意義とを正確に伝え、 研究成果についての評価を確立するために不可欠である。 この活動は、人類共有の知的財産や文化の蓄積としての貢献のみならず、研究を支える国民への発信、 広く社会への研究成果の還元へと発展する。 研究を行った者は、研究の誠実性、客観性、正確性、他者の研究の正当な引用、 知的財産の尊重などに十分配慮した公表を行い、公表内容に対し説明責任を負わなければならない。 公表内容に誤りがあることが明らかになった場合には、その修正を公表すべきである。 また、過去に公表した研究結果を新しい結果として再び公表するなどの虚偽行為は許されない。

5. 共同研究者としての責任

共同研究あるいはグループ研究においては、個々の研究者が、 共同研究者やグループ構成員の研究倫理の遵守に対して連帯責任を負わなければならない。

6. 教員の責任

教員には、学生が研究倫理に則った独創的研究が行えるように、理念を伝え、方法論や手段を指導する責任がある。 また、教員には、研究室等の自らが属する研究グループの構成員の研究倫理保持に努める義務がある。 教員は、高い倫理性が保たれた研究活動が行われるよう、 教育・研究の指導者あるいは責任者としての責任を果たさなくてはならない。