研究科長からのご挨拶

研究科長からのご挨拶

研究科長 星野真弘

研究科長 星野真弘

人類は数百万年前に2足歩行を始めて以来、身の回りに起きる自然界の出来事に好奇心を持ち、その謎を解き明かすことで生活を豊かにしてきました。古代人も空を見上げて、大地に燦燦と降り注ぐ太陽や、その光を受けて生い茂る草木、そして多種多様の生物がいることを見て、いろいろな疑問をもったことでしょう。不思議だと感じたのは単なる好奇心であったかも知れません。人類はそのような自然の姿を観測して仕組みを解析し、理解した事柄を日々の生活に取り込むためにたゆまぬ努力を続け、今日の科学の発展へとつなげてきました。理学は、自然界の普遍的真理を解明することを目指し、自然界に働く法則や基本原理を探求する純粋科学ですが(東京大学理学部憲章)、理学の営みは人類社会の繁栄を導いています。

東京大学理学部・大学院理学系研究科の歴史は1877年(明治10年)まで遡ります。当時設置された学科は5学科(数学物理学および星学科、化学科、生物学科、工学科、地質学および採鉱学科)でしたが、現在は10の学科(数学科、情報科学科、物理学科、天文学科、地球惑星物理学科、地球惑星環境学科、化学科、生物化学科、生物学科、生物情報科学科)と5つの専攻(物理学専攻、天文学専攻、地球惑星科学専攻、化学専攻、生物科学専攻)から構成されています。理学部・理学系研究科では、物質を構成する素粒子のミクロ世界から、原子や分子、細胞や生物、地球や太陽系、そして広大な宇宙まで、ありとあらゆる自然界の根源的な問いを探究しており、創立以来、日本や世界を牽引する理学の研究と教育の中心として、数多くの成果と人材を輩出してきています。

理学部は学問の礎を作るところ、工学部等は科学技術の応用・出口を重視するところといわれますが、基礎と応用の両者の異なる側面が相まって、今日の我々の生活を豊かにする科学技術を支えてきました。20世紀を通じて現代科学は急速に進歩しています。近年では情報化革命により生活の利便性は飛躍的に向上しています。しかし、一方では科学技術の発展に伴い、地球温暖化や環境問題など地球規模の問題も生じてきているのも否めません。理学の教育と研究においても、我々人類が抱える課題解決に向けた取組が、今後増々必要とされています。

「理学は、人類社会文明の基盤を築くと共に自然観を絶えず深化・発展させ、文化としての科学を創造する。理学は、人間が獲得した不朽の知の営みであり、人類の知性の根幹を成す」(東京大学理学部憲章)。この憲章を遵守し、理学部・理学系研究科が培ってきた良き伝統を生かして、人類の叡智をより進化させた社会の持続的発展を目指す教育と研究を展開していきます。