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小寺 雅子

理学部・理学系研究科の卒業生、教員からのメッセージ

※所属、肩書は掲載時のものです

小寺 雅子

小寺 雅子

(株)東芝 セミコンダクタ―&ストレージ社 半導体研究開発センター 半導体研究企画部

1985年3月 東京大学理学部 地球物理学科卒業、 1987年3月 東京大学大学院理学系研究科 地球物理学専攻課程修了、 1987年4月 株式会社 東芝 入社、 2005年3月 明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻 博士後期課程修了。入社以来、先端半導体プロセスの研究開発に従事。近年は研究開発企画業務にも携わる。1992年に結婚、2000年に長男出産。


高校時代に宇宙や太陽系の起源に興味を持ち、専門で地球物理学科に進学しました。学部・修士時代は、超高性能の質量分析装置を使って地球深部に存在する宇宙起源の希ガスの同位体比測定をしていました。当時は学部の9割が修士へ、その9割が博士に進む時代だったのですが、研究以外の世界を見てみたくなり、修士修了後に東芝に就職しました。半導体プロセス研究開発の仕事を選んだのは、大学の研究室で使っていた装置に類似した真空装置を扱うこと、また扱う半導体材料が地球の主成分(O、Si、Al等)と同じで身近に感じたからです。ただその後、半導体配線材料はAlからCuに転換していきましたし、仕事の専門は真空ではなく液体になりました。

入社した1987年は男女雇用均等法施行元年で、同期にそれなりの人数の女性研究者・技術者がいました。また幸い身近に女性の先輩も数名いらして、安心して働ける環境でした。一方で仕事は社内の関連部署だけでなく、社外の多数の会社とも共同作業を進める必要があり、早朝から深夜まで実験・報告書作成・会議に追われました。忙しかったけれども当時開発した技術で多くの特許をとり事業にも貢献できたことは、今でも自分の財産になっています。

30代半ばで長男を出産しました。出産を機に、長時間会社にいなくても成果を出せる仕事の仕方を考えるようになり、また体調管理にも配慮するようになりました。若い時は勘所がわからずがむしゃらに走り続けましたが、年月を重ねることで見えてくることも多いと感じます。

また息子が2歳の時に当時の上司から社会人課程博士への入学を勧められ、仕事の成果を論文にまとめて学位を取得しました。週一のゼミで若い学生さんとも議論することができたのは楽しい思い出です。今は息子も中学生になりましたが、私が週の半分くらいは出張で国内・海外を飛び回る生活をしているため、息子も家事が少しできるようになりました。息子が成長したらまた違った環境で仕事をしてみたいと思っています。

理学部在学女子学生へのメッセージ

女子に限りませんが、自分の得意分野を確立することをお勧めします。また自然科学だけでなく社会・人文科学への興味も持ち続けて下さい。リベラルアーツは時を経て人生を豊かにしてくれると感じます。

また女性の場合、どうしても子供によって仕事が影響される場合が多くなりがちです。周りを見ると近所に住む親御さんが育児をサポートされるケースが多いのですが、私はあいにく両親が近くにおらず、夫と保育園の送迎や家事を分担しました。子供が小2の時に夫が単身赴任になり、その後両親も相次いで亡くなったので、自分の出張の時に近所のお友達のお宅で預かって頂いたこともありますが、なんとか乗り越えてきました。やりたいことがあったら我慢せずにまずはトライしてみてください。