「実験データ分析入門」
小澤 岳昌（化学専攻 教授）
| Graham Currell著 小澤 岳昌訳 |
| 「実験データ分析入門」 |
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東京化学同人（2022年） |
| ISBN 978-4807909919 |
大学に入学すると，多くの学部で学生実験が始まり，データを取得し解析する方法を学修する。実験と合わせ，統計学の基礎を学ぶことであろう。一方，学部後半あるいは大学院から研究室に所属すると，研究プロジェクトで答えの無い実験が始まる。どのようなデータをどの程度取得し解析するか，データの科学的な振る舞いを分析する必要性が生じる。得られたデータにどの程度の不確かさがあるか，二つの結果に有意差があるか，複数の母集団の中に優位差のある集団が存在するかなど，直感ではなく科学的にデータを分析し報告する場面に直面する。
本書はDr. Graham Currellが作成した化学，生命科学，物理学，環境科学などで用いられる統計学の教材をもとに，データ分析の実践的な方法を，事例を交えながら解説した入門書である。統計学の教科書に掲載される複雑な式変形にはふれず数式を紹介するに留め，実際にデータ分析をする上で必要な「統計解析ソフト」をどのように使うかを紹介している。第一部では基本的な統計的概念を解説し，Excelのコマンドを用いた統計量の求め方を紹介する。第二部では実際にデータが手元にあり分析を行う，あるいは実験計画を決めるためにデータ分析方法をあらかじめ検討するような状況を想定し，統計解析ソフトSPSSとminitabを用いて実践応用を解説する。実験研究者の入門書として本棚に置いておくと役立つかもしれない一冊である。