2023年度理学系研究科・理学部諮問会が開催されました
常行 真司(評議員・副研究科長/物理学専攻 教授)
上:諮問会の様子
下:研究室見学(物理学専攻 日下 暁人准教授)
2024年2月28日(水)に,2023年度(第23回)理学系研究科・理学部諮問会が開催された。本年度はアカデミアでご活躍されさまざまな経験をお持ちの先生がた6名に諮問会委員をお願いしており,当日は川合眞紀委員(議長),阿形清和委員,奥村幸子委員,小安重夫委員にご参加いただき,11:00から研究室見学を挟み17:30まで,対面で活発な意見交換が行われた。
諮問会ではまず大越慎一研究科長から,理学系研究科・理学部の現状報告が行われた。2023年度に開催した各種イベント,人事の状況,財務状況の説明に続いて,論文メトリクスや研究トピックス,プレスリリース,研究者の受賞など,卓越性を示す事例の説明があった。委員からは,東京大学が「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)」に署名したこともあるので,国際的な存在感や研究のオリジナリティといった卓越性を,数値以外で表現する方法について考えてほしいという意見があった。この後,昼食を挟んで、小澤岳昌研究科長補佐・図書館長の案内で理学部図書館の見学会,続いて物理学専攻の日下研究室の見学会が実施された。
次に社会貢献/社会とのつながりの事例として,理学系での研究成果の特許引用とビジネス展開,寄付講座・社会連携講座の設置状況,企業との包括連携や産学連携プロジェクトが紹介され,近年の活動を高く評価いただいた。各種アウトリーチ・広報活動,東大基金に関する状況については,対面で定期的に記者懇談会を開くと良いとの意見があった。
国際化の取り組みに関しては,東大で初めて理学系が開始した海外大学とのダブルディグリープログラムや,グローバル基礎科学教育プログラム(GSC:Global Science Course),グローバルサイエンス国際卓越大学院コース(GSGC:Global Science Graduate Course),新たに準備中のグローバルスタンダード理学・理学部国際コース,理学部学生国際派遣プログラムSVAP(Study and Visit Abroad Program)やUTRIP(University of Tokyo Research Internship Program)など学生の国際交流プログラムについて説明があった。委員からは,グローバルスタンダード理学や,関連する全学のCollege of Designに関して,今後につながるたくさんのアイデアを頂戴した。
続いて松尾泰研究科長補佐・教務委員長から学部と大学院での教育について,佐藤薫副研究科長から男女共同参画室について,井出哲研究科長補佐から学生支援室とキャリア支援室について,常行真司副研究科長から研究支援総括室の活動について,榎本和生副研究科長から広報委員会・広報室について,再度佐藤薫副研究科長から環境安全管理室について報告があった。
上記の意見交換を通して,理学系の女性比率向上に向けて多くのご意見をいただいた。女子学生の比率が20年間あまり増えていないことについては,東大の女性の受験者を増やす努力が必要であるとの指摘があり,そのために理学部の魅力を女子学生につたえる機会を増やしてはどうかとの提案があった。女性教員比率を高めるためには,母集団である女子学生の比率を高めるだけでなく,ポストにつき活躍できるようになるまでフォローアップして,いずれは教員として戻ってもらえるようにすることが重要であることや,男女共同参画の施策は男女を問わず若手研究者のサポートになるので,辛抱強く続けるべきであるといった指摘があった。
最後に川合議長から,大学が変わろうとしている時期であり,先進的な取り組みをしてほしい,特に国際化については理学系研究科・理学部が先鞭をつけてほしいとのご意見をいただいた。諮問会終了後には懇談会が行われ,そこでも活発な意見交換があった。
以上のように,諮問委員の先生がたからたくさんの建設的なご意見やアイデアを伺うことができたことは,理学系研究科・理学部の今後の運営を考える上でたいへんありがたく,諮問会は共に将来を考えていただける強い味方であることを痛感した。改めて,貴重な時間を割いて諮問会にご出席いただいた諮問委員の先生がたに,心より感謝の意を表したい。
別表:2023年度 諮問会委員名簿(敬称略)
阿形 清和 自然科学研究機構基礎生物学研究所 所長
家 泰弘 学校法人中部大学 総長
奥村 幸子 日本女子大学理学部 教授
川合 眞紀 自然科学研究機構 機構長
小安 重夫 量子科学技術研究開発機構 理事長
花輪 公雄 山形大学 理事・副学長