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理学部ニュース

吉清まりえ助教が第40回井上研究奨励賞を受賞

生井 飛鳥(化学専攻 准教授)

 


吉清まりえ 助教

本研究科化学専攻の吉清まりえ助教が,第40回井上研究奨励賞を受賞されました。本受賞は,イプシロン型酸化鉄ナノ粒子のミリ波およびテラヘルツ波領域の分光学的性質に関して研究した吉清氏の博士研究論文に対するものです。

吉清氏が取り組んだイプシロン型酸化鉄は,酸化鉄の結晶相の中でも反転対称性の破れた特徴的な結晶構造に由来する磁気異方性により,酸化物中最大級の保磁力や磁性体最高周波数のミリ波吸収を示すユニークな磁性材料です。吉清氏は,イプシロン型酸化鉄およびその金属置換体の分光学的性質,特にミリ波領域からテラヘルツ波領域にまたがる分光学的性質に着目し,磁化の歳差運動に起因するミリ波領域での共鳴およびテラヘルツ領域における格子振動を観測しました。さらに,イプシロン型酸化鉄のフォノンモード計算にも取り組み,理論的検証も行いました。これらの研究を通じて,磁気異方性の起源の理解を深めています。吉清氏の研究は,磁化の書き込みをミリ波でアシストする新しい磁気記録方式の提案にもつながっており,産業応用にもつながる重要な知見となっています。吉清氏の今後の研究の発展が期待されます。

 

理学部ニュース2024年1月号掲載

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