大気現象に魅せられて挑戦そして挑戦
佐藤 薫(地球惑星科学専攻 教授)
1991年京都大学大学院理学研究科地球物理学専攻博士課程修了(理学博士)。1995年同大学助手に着任し,大型大気レーダーやラジオゾンデ,高解像大気大循環モデル(GCM)を用いた大気重力波とその地球規模大気諸現象での役割,大気階層構造の物理に関する研究を開始する。1999年国立極地研究所助教授に着任し,南極初の大型大気レーダー(PANSYレーダー)プロジェクトを立ち上げ,2011年に昭和基地に実現する。現在,全地球大型大気レーダー観測ネットワークと高解像GCMを軸とした国際共同研究を推進中。第44次日本南極地域観測隊越冬隊員,第60次夏隊員。2005年より現職。日本気象学会学会賞・藤原賞,科学技術部門の文部科学大臣表彰科学技術賞等を受賞,2021年紫綬褒章。
Q. 子供の頃好きだった教科は?
A. 理科,算数,音楽
理科:予想を裏切る結果が出る実験が面白いと思った。算数:問題を解くのが楽しかった。音楽:隣の家の友達とピアノ連弾に夢中になった。一人では出せない多彩な音が素敵だと思った。
Q. 座右の銘は?
A. 後悔後を絶たず
目標を定め,アイディアをひねり出し,丁寧に研究し,努力を続けても,あの時こうすればよかったということは多々ある。でもそれは当たり前のこと。頑張ってチャレンジを続けている証拠だと開き直ることにしています。
Q. 東大理学部のいいところはここ!
A. お互いの分野を尊重しあうこと
それぞれが夢中になって研究しているので,分野が違っても共鳴することが少なくなく,話していて楽しいです。
Q. 趣味はなんですか?
A. 音楽
コロナパンデミックで在宅勤務の環境を整えたら,ピアノを弾く機会が増えました。仕事に影響しないように1日15分ほどしか弾きませんが,新しい曲にも少しずつ取り組んでいます。
Q. 学生さんにおすすめする本や教科書は?
A. An Introduction to Dynamic Meteorology(James R. Holton著)
専門書になりますが,気象学を目指す方には必携の教科書です。第5版まで出ていますが,Holton先生が一人で書かれた第4版のほうが読みやすいかもしれません。きれいで無駄のない英語で書かれており,内容そのものだけでなく行間にも大気の物理学の面白さがあふれています。
Q. インスピレーションの源は?
A. 研究室で学生や共同研究者と議論をしているとき,考えながら歩いているとき
声に出して議論することで問題点が整理され,さまざまな角度から同時に考察できるからだと思います。考えながら歩いているときは,周りが見えなくなるので知り合いに会っても気づかず失礼しているのではと心配です。
Q. タイムスリップできるとしたら?
A. 未来へ行ってみたい
人間活動の影響で地球環境が大きく変化しています。将来にわたり,少しでも住みやすい地球を維持できるようさまざまな努力がなされていますが,結果がわかるのは人間の寿命を超えます。素晴らしい未来だといいと思います。
ー メッセージ ー