DATE2025.03.11 #Press Releases
遺伝性難聴へのゲノム編集技術を開発
―内耳の異常タンパク質を修復する新たな難聴治療技術―
発表概要
順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学講座の神谷和作 准教授、宇梶太雄 非常勤助教ら、および東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 濡木理 教授らの共同研究グループは、これまで根本的治療の存在しなかった遺伝性難聴に対して独自の遺伝子送達技術と遺伝子編集技術を組み合わせることにより患者内耳の遺伝子変異を効率よく修復して内耳の異常タンパク質を修復する新技術を開発しました。
生まれつきの難聴のほとんどは遺伝子変異による難聴(遺伝性難聴)であり、その最も大きな原因がGJB2と呼ばれる遺伝子の変異です。世界ではGJB2などの正常遺伝子を補充する治療の研究は進んでいましたが、顕性(優性)遺伝型と呼ばれる遺伝子変異のタイプでは遺伝子の補充は効果がなく、遺伝子情報を書き換えるゲノム編集の技術が必要とされていました。しかし遺伝子の大きさや書き換えの効率など、技術的な困難によって有効な方法が開発されていませんでした。
本研究では順天堂大学医学部耳鼻咽喉科学講座で独自に開発した内耳への遺伝子送達技術(アデノ随伴ウィルスベクター:AAV)と東京大学で開発した最新のゲノム編集技術(SaCas9-NNG-ABE)を組合わせた難聴への遺伝子治療技術によりGJB2と呼ばれる代表的な難聴遺伝子の変異箇所を効率よく書き換えて、内耳タンパク質の機能を正常に回復させる技術開発に初めて成功しました。
本論文はJCI Insight誌のオンライン版に2025年3月11日(日本時間)に公開されました。
図:遺伝性難聴の異変を一元的ン修復する内耳ゲノムプラットホームの構築
関連リンク
発表雑誌
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雑誌名 JCI insight論文タイトル