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Press Releases

DATE2024.06.18 #Press Releases

「宇宙の夜明け」に合体する双子の巨大ブラックホールを発見

国立天文台
愛媛大学
東京大学大学院理学系研究科
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構

発表概要

東京大学大学院理学系研究科の河野孝太郎教授(天文学教育研究センター)、 柏川伸成教授(天文学専攻)、John Silverman教授(天文学専攻/Kavli IPMU)が参加する愛媛大学、国立天文台などの研究者からなる研究チームが、すばる望遠鏡の観測により、合体中の2つの巨大ブラックホール(クェーサー)を発見しました。このクェーサーのペアは、これまでに知られている中で最も遠方にあるだけでなく、「宇宙の夜明け」と呼ばれる時代でその存在が初めて確認された合体中の巨大ブラックホールです。


図:すばる望遠鏡によって129億光年かなたの宇宙で発見された双子の巨大ブラックホール、HSC J121503.42−014858.7(C1)とHSC J121503.55−014859.3(C2)。(クレジット:NOIRLab/NSF/AURA/T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), D. de Martin (NSF NOIRLab) & M. Zamani (NSF NOIRLab))

宇宙で最初の星や銀河が輝きだした頃、それらの星々などからの紫外光が宇宙に広がり、「宇宙再電離」と呼ばれる宇宙空間のプラズマ化が進行しました。天体の存在しない暗黒時代に終わりを告げる宇宙の夜明けで、現在の宇宙で見られる銀河や銀河団の大規模構造の形成につながる重要な時期です。その時代に、銀河とその中心にある巨大ブラックホールはどのように進化したのか、そして、それは再電離の進行にどう影響したのか?天文学におけるこの大きな謎を解き明かすため、すばる望遠鏡の超広視野カメラによる大規模な撮像探査(HSC-SSP)によって、超遠方宇宙でのクェーサー探しが行われました。クェーサーとは、銀河の中心にある巨大ブラックホールが周囲の物質を飲み込む過程で明るく輝いている天体です。その結果、これまでに約200個の超遠方クェーサーが発見されましたが、HSC-SSP以外の発見を含めても、これまでにペアになっているものは見つかっていませんでした。

しかし、研究チームが、HSC-SSPの画像を目視で見直していたとき、思いもよらない発見に出くわしました。「クエーサー候補の画像をスクリーニングしているとき、とても赤く、似通っている2つの天体が隣り合っているのに気付きました」と、本研究を主導した松岡良樹博士(愛媛大学)は語ります。「この発見は全くの偶然でした。極めて珍しいペアなので、HSC-SSPほどの深さと広さを兼ね備えたデータだからこそ写っていたといえます」

このペアが本当にクェーサーかどうかを確認するため、研究チームは、すばる望遠鏡の分光器(FOCAS)と、ジェミニ北望遠鏡の赤外線分光器(GNIRS)で追観測を行いました。FOCASで検出したライマンα輝線から、2つの天体が129億光年先にあるクェーサーであることが判明しました。また、2つの巨大ブラックホールがほとんど同じ質量をもつ「双子」であることも明らかになりました。さらに、2つのクェーサーをつなぐガスの構造も検出されたことにより、両者の合体が起こっていると研究チームは推測します。

「宇宙の夜明けに合体中のクェーサーが存在することは長い間予想されながら、見つかってきませんでした。それが今回初めて確認されました。またアルマ望遠鏡による追観測から、周囲のガスが非常に興味深い構造をしていることも明らかになっています。衝突と合体を繰り返しながら成長する銀河の中で、巨大ブラックホールがどのように進化するのかを知るための重要な発見です」と松岡博士は語ります。

本研究成果は、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レター』に2024年4月5日付で掲載されました(Matsuoka et al. "Discovery of Merging Twin Quasars at z=6.05")

詳しくは、国立天文台ハワイ観測所 のホームページをご覧ください。

発表雑誌

雑誌名 アストロフィジカル・ジャーナル・レター
論文タイトル Discovery of Merging Twin Quasars at z=6.05"Discovery of Merging Twin Quasars at z=6.05"