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Press Releases

DATE2024.06.11 #Press Releases

室温で反強磁性磁壁の高速電流駆動を実証

―超高速かつ低消費電力での磁気シフトレジスタの実現へ道―

発表概要

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター量子ナノ磁性チームのミンシン・ウー大学院生リサーチ・アソシエイト(研究当時)、近藤浩太上級研究員、大谷義近チームリーダー、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻のタイシー・チェン特任研究員(研究当時)、肥後友也特任准教授中辻知教授、東京大学物性研究所ナノスケール物性研究部門の一色弘成助教、同量子物質研究グループの冨田崇弘特任助教(研究当時)らの国際共同研究グループは、反強磁性体中の磁壁をナノ秒(ns、1ナノ秒は10億分の1秒)のパルス電流によって高速駆動できることを実験的に示しました。

本研究成果は、反強磁性体を基盤材料とした超高速かつ低消費電力で駆動可能な磁気シフトレジスタの実現につながることが期待されます。

今回、国際共同研究グループは、反強磁性体にもかかわらず、強磁性体のように磁化状態を電気的・光学的に検出することができるカイラル反強磁性体を用いて、室温で磁壁の高速電流駆動を実証しました。磁壁は電流と磁化の相互作用によるスピン移行トルク(磁化を回転させる力)によって駆動し、強磁性体で同様のトルクで駆動した場合と比較すると、今回の反強磁性体では、約2桁高い移動度(単位電流密度当たりの移動速度)を有することを確認しました。さらに、反強磁性体の結晶方位依存性を調べることで、磁壁の高速駆動に適した磁壁構造を明らかにしました。

本研究は、英国科学雑誌『Nature Communications』オンライン版(6月11日付:日本時間6月11日)に掲載されました。


図:反強磁性体の磁壁移動による磁気シフトレジスタ(磁区の向きで”0”と”1”を記録)

詳しくは、理化学研究所 のホームページをご覧ください。

関連リンク:
科学技術振興機構(JST)

発表雑誌

雑誌名 Nature Communications
論文タイトル