2022年度 理学系研究科・理学部諮問会が開催されました
佃 達哉(2022年度副研究科長/化学専攻 教授)
諮問会当日の様子
2022年3月16日(木)に理学系研究科・理学部諮問会が開催された。諮問会は,さまざまな分野でご活躍の先生(別表)から,理学系研究科・理学部の課題や将来の方向性について率直で建設的なご意見を伺う貴重な機会として,毎年開催している。昨年度は新型コロナ感染症の拡大のためハイブリッドでの開催となったが,今年は十分な感染対策をした上で対面で実施した。
林正彦議長の司会・進行のもとで諮問会を進めた。冒頭に星野真弘研究科長から理学系研究科・理学部の現状,研究の卓越性,社会貢献について,続いて佃達哉副研究科長から教育・研究の国際化について報告があった。諮問委員の先生には,その後の休憩時間を利用して,リニューアルオープンしたサイエンスギャラリーをご覧いただいた。その後,川北篤教務委員長・飯野雄一副研究科長が学部・大学院教育について,河野孝太郎男女共同参画室長が男女共同参画の取り組みについて,それぞれ報告した。最後に,学生支援室・キャリア支援室について高橋嘉夫室長から,研究支援総括室について野上識プリンシパルURAから,広報室について飯野雄一室長から,環境安全管理室については小澤岳昌室長からそれぞれ活動報告があった。昨年度にいただいたコメントへの対応状況も交えながら,活発な議論と意見交換がなされた。さまざまな課題に対する今後の取り組みについて,委員の皆様からいただいたご提言をいくつか紹介する。
■ 研究の卓越性について:大学は,昨今さまざまな指標に基づいたランキングシステムによって評価・比較されている。理学系研究科・理学部の活動を評価するためにどのような指標が適切なのかを考えることが重要だ。それをさらに進めて,独自の評価基準に基づくランキングシステムを作っても良いのではないか。
■ 国際化について:概算要求事業「グローバルスタンダード理学」などを通して国際教育を推進するために,柔軟な給与体系に基づいて優秀な外国人教員を採用することは重要である。しかし,今後優秀な人材の国外流出を食い止めるためにも,評価体系を整えてメリハリのある給与配分をする時期に来ているのではないか。また国際化教育の成果として,留学生が卒業後に国内に残って活躍できる環境づくりが必要ではないか?
■ 男女共同参画について:理学系の博士課程の女性比率が25年に亘って20%程度を保っているので,これを女性割合の最終目標とするのは理に適っている。一方,博士課程の女性比率自体の向上のための長期的な戦略として,親御さんや小・中・高等学校の教員に対して,理数系に進学することで女性が活躍できる機会が広がることを説明することが有効ではないか。研究以外の分野で活躍しているロールモデルを示すことや,女性卒業生のネットワーク作りも有効かもしれない。
最後に,これらの提言に対してはできるところから進めてもらえればよいが,真の変革のためには周りを気にせず思い切ってやることも必要だろう,と言う力強い応援メッセージをいただいた。理学系研究科・理学部のさらなる発展に向けて,執行部や事務方の参加者全員が勇気づけられた。諮問会終了後には,和やかな雰囲気の中で懇親会が行われた。諮問会委員の先生には,ご多忙の中ご尽力いただきましたことに改めて感謝申し上げます。
別表:諮問会委員名簿(敬称略)
阿形 清和 自然科学研究機構基礎生物学研究所
内永 ゆか子 NPO法人J-Win 理事長
川合 眞紀 自然科学研究機構 機構長
小安 重夫 国立研究開発法人理化学研究所 理事
花輪 公雄 山形大学 理事・副学長
林 正彦 日本学術振興会ボン研究連絡センター センター長