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理学部ニュース

第35回理学部公開講演会の開催

飯野 雄一(2022年度広報室長/生物科学専攻 教授)

 

このたび2023年3月10日(金)に「理学が照らす未来」と題した第35回の公開講演会をハイブリッド形式で実施した。理学部・理学系研究科で年に一度,広く一般向けに理学の面白さを伝えるために開催しているイベントである。振り返っては3年前の2020年3月,第32回の理学部公開講演会の開催直前に,新型コロナウイルス感染症の勃発のため急遽延期となり,それ以降すべての広報イベントをオンライン形式で行っていたため,来聴者をお招きするのは久しぶりとなった。過密を避けるよう人数制限をかけて,理学部1号館にある小柴ホールでの対面の講演会を実施するとともに,理学部YouTubeチャンネルでも同時配信を行った。




公開講演会のようす(上段左:石谷暖郎特任教授,右:國枝武和准教授,下段:小森健太郎助教)

まず石谷 暖郎 特任教授(化学専攻)より「連続フロー化学—未来へと続く化学品製造の道」として,副産物が少なく効率的な化学合成の方法である連続フロー合成の方法が紹介された。さらに,具体的な開発実例についての説明があり,未来社会の展望についても議論された。次に國枝 武和 准教授(生物科学専攻)より「宇宙にも耐える動物クマムシのサバイバル戦略を読み解く」として,想像を絶する耐久力を持つクマムシという動物が紹介され,その面白さや徐々に明らかになってきたその強さの分子的なしくみについて,研究結果が説明された。最後に,小森 健太郎 助教(ビッグバン宇宙国際研究センター)より「宇宙にこだまする残響を聴く〜重力波観測の現在と未来〜」として,ブラックホールなど,はるかかなたの宇宙空間の歪みを極めて微弱な重力波として捉える,スケールが大きくかつ繊細な研究について,その原理から観測結果までが紹介された。講演に対する質問は双方の異なる形式の参加者があることから,混乱をさけるためにもSlidoによって受け付けるようにし,さまざまな観点からの質問がなされた。Slidoによる質問の書き込みは、視聴者間で疑問が共有され、理解を深める有効な時間となったように感じられた。

今回,現地参加の当日の来場者数は48名であった。一方,YouTubeチャンネルによるオンラインの同時視聴者数のピークは153名,ライブ配信終了時の視聴回数は1281回であった。アンケート結果では「現地参加は期待以上に素晴らしかった」など,久しぶりの現地開催を喜ぶ声が多かった。また,現地に来場された方にはリニューアルしたサイエンスギャラリーをご覧いただく機会となり,我々の予想通り多くの方が来場のさいに観覧されていたようである。

本講演会は理学部広報委員会の監修のもと,開催の準備,収録,配信を広報室と情報システムチームが協力して行なった。現地およびオンラインで講演会を視聴いただいた皆様と,さまざまご助力いただいた皆様に深く感謝したい。

 

 

理学部ニュース2023年5月号掲載

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