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理学部ニュース

谷口大輔氏が第13回(2022年度)日本学術振興会育志賞を受賞

小林 尚人
(天文学教育研究センター 准教授)

 

天文学専攻博士課程3年の谷口大輔さんが,2022年度の日本学術振興会育志賞を受賞されました。この賞は全研究分野を対象とし,将来が期待される20名弱の大学院博士課程学生が毎年選ばれるもので,受賞は若手研究者にとって大変名誉なことです。


谷口大輔氏

受賞の研究題目は「赤色超巨星の探究:時間変動,進化経路,そして天の川銀河研究への応用」というものですが,対象である「赤色超巨星」は最も明るくかつ赤い部類の星で,銀河や宇宙の進化に大きな影響を与えるにも関わらず,複雑な大気構造を持つため,星の中でも理解が不十分なミッシングピースとして残されています。

谷口さんは,赤外線の高分散分光データを用い赤色超巨星の温度を高い信頼度で導出する独自の手法を確立し,赤色超巨星の進化モデルを定量的に検証できる基礎を作りました。また気象衛星を活用するという奇抜なアイディアで,最も有名な赤色超巨星「ベテルギウス」の光度を時間的に途切れなく,かつ長期に亘って調べ,この天体で謎とされていた大きな光度変化の理由を明らかにしました。このように赤色超巨星に対する多岐に亘る新たな測定手法を開発し切り拓いたことは,この分野への大きな貢献となっています。

谷口さんは,木曽観測所で毎年開催されている高校生向けのアウトリーチ「銀河学校」の卒業生でもあります。このような天文学専攻の大学院生が優れた成果を挙げ,国内外から高い評価を受けたことは大変喜ばしいことであり,心からお祝い申し上げます。

 

 

理学部ニュース2023年3月号掲載

 

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