国際天文学オリピックに初の代表生徒派遣 


青沼 惠人(地球惑星環境学科4年生)


 


2022年10月15日から10月24日にかけて,第26回国際天文学オリンピック(XXVI IAO: II International Remote Astronomy Olympiad)がイタリア南部の都市マテーラからオンライン開催され,日本選手団は東京大学木曽観測所からリモートで参加した。国際天文学オリンピック(IAO)は中高生を対象とした天文学の知識・思考力・技能などを問う大会である。日本からは高校生3名,中学生2名を代表として派遣した。日本がIAOに代表生徒を派遣するのは初めてであったものの,代表生徒は銅メダル3個という良好な成績を修めた。

私は日本天文学オリンピック(JAO)委員会の委員として大会開催・運営に関わっており,現在は副代表を勤めている。日本には長らく天文分野の科学オリンピック組織が存在せず,天文分野を志す中高生が世界規模の大会に参加する機会が乏しかった。このような状況から一歩踏み出すため,他科学オリンピック経験者をはじめとした学生中心の有志が委員会を結成し,IAOへの代表派遣を行うこととなった。私は国際地学オリンピック・国際地理オリンピックへの出場経験があり,その経験を生かすべくJAO委員会に参加することとなった。

今年度のIAOでは17日に理論試験・18日にビジュアル(地図・画像)試験・19日に実技試験が行われた。

17日に行われた理論試験は一般的な天文学の問題を通じて各選手の思考力を評価する試験であり,理論的な内容を問う出題が多くなされた。続く翌18日に行われたビジュアル試験は観測試験の代替として行われたものである。天体の判別や天球上の位置に関する問題が出題され,天体観測の経験が豊富な生徒には比較的解答が容易だったようだ。最後の19日に行われた実技試験は実際の観測データを基に問題に解答する試験であり,天文学の研究に近い実践的な試験に苦労した生徒も多かったようである。

試験はIAO委員会が遠隔で監督する形式で行われた。現地イタリアとの意思疎通には問題はなかったものの,リモートプリントやwebカメラを用いた撮影などに伴う技術的な問題が多く発生することとなった。試験の遅延を招いたり現地委員会を待たせてしまったりした事案もあり,遠隔で試験を行うことの難しさを改めて認識する結果となった。

16日に行われた開会式では国際宇宙ステーション(ISS)からの中継が行われ,宇宙飛行士らからのメッセージも会場に届けられた。24日に行われた閉会式・表彰式においては,各チームの生徒に対するインタビューが行われた。日本からは銅メダルを受賞した孫翰岳君(筑波大附属駒場高・3年)がインタビューを受け,大会に参加した感想や試験に対する所感を英語で述べた。

図:05cmシュミット望遠鏡の建物前でIAOポーズをとる日本代表生徒(撮影:大平達也(JAO委員))

なお,今回はオンライン開催のためエクスカーションなどの国際交流の機会はIAOとしては設けられなかった。われわれJAO委員会では木曽観測所のご厚意の元,105cmシュミット望遠鏡をはじめとする観測所の各施設の見学を行わせていただいた。それ以外の時間にも,代表生徒は夜間の天体観察などを通じて親睦を深めていたようである。

先述したとおり,日本のIAOへの代表派遣は今年が初年度となった。委員会の立ち上げから大会参加に至るまで,多くの困難を乗りこえて初めてここに至ることができた。IAO委員会・JAO委員会・木曽観測所の皆様を始めとして,サポートしてくださったすべての皆様に,この場を借りて御礼を申し上げます。

※11月号理学エッセイにおいて、国際天文学オリンピックの採点集計のミスによる一部変更があります。

理学部ニュースではエッセイの原稿を募集しています。自薦他薦を問わず,ふるってご投稿ください。特に,学部生・大学院生の投稿を歓迎します。ただし,掲載の可否につきましては,広報誌編集委員会に一任させていただきます。
ご投稿は rigaku-news@adm.s.u-tokyo.ac.jp まで。

 

理学部ニュース2022年11月号掲載

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加