川畑幸平氏が第12回(2021年度)日本学術振会育志賞を受賞

上田 正仁(物理学専攻 教授)

川畑幸平氏が第12回(2021年度)日本学術振興会育志賞を受賞されました。

量子力学の教科書には,観測量が実数であるためそれを記述する作用素がエルミート性を有する必要があると書かれている。しかし,原子核の崩壊現象など自然界には有限の寿命を持ち,エネルギーが複素数値をとる現象は古くから知られてきた。このような現象を記述する理論として非エルミート作用素に基づく量子力学が近年盛んに研究されている。川畑幸平氏は,対称性とトポロジーという物理学における基礎概念が,非エルミート物理系においてどのように理解されるかという問題に取り組み,その基礎理論の構築に成功した。川畑氏が成し遂げた一連の研究成果は,非エルミート作用素で記述されるさまざまな物理現象を理解する理論的枠組みを与え,基礎物理の観点から重要であるだけではなく,トポロジカルデバイスをデザインする上での指導原理を与えるという意味でも重要である。

川畑氏は国内外の多数の研究者と共同研究をするなど国際的にも活躍している。川畑氏の切れ味の鋭いアイデアとそれを具体的な結果へと結び付ける研究能力は卓越しており,ますますの活躍が期待できる。

川畑氏の育志賞受賞に心からお祝いを申し上げます。

 

理学部ニュース2022年3月号掲載

 

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