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理学部ニュース

日比谷紀之教授が第14回海洋立国推進功労者内閣総理大臣表彰を受賞

升本順夫(地球惑星科学専攻 教授)

地球惑星科学専攻の日比谷紀之教授が,海洋に関する学術・研究などで顕著な功績を挙げた個人・団体を表彰する海洋立国推進功労者内閣総理大臣表彰を受賞されました。

日比谷教授は,長期気候変動に影響をおよぼす深層海洋循環の解明に不可欠な深海乱流の物理機構の解明とその定量化を研究テーマとして,長年研究に取り組まれてきました。 日本に深海乱流計が存在しなかった1990年代に,数値実験の結果から,緯度20˚~30˚にある海嶺や海山の近傍では鉛直低波数・半日周期の海洋内部潮汐波とのパラメータ共振を通じて鉛直高波数の近慣性内部波が形成され,それに伴う近慣性流シアーによって強い深海乱流が励起されることを,初めて理論的に予測されました。この理論結果に基づき,さまざまな海域での観測を行うことで,深海乱流強度の緯度依存性の存在を確認するとともに,海洋の中・深層における乱流強度のグローバルマッピングを世界で初めて完成させました。 また,潮汐とともに深海乱流の主要なエネルギー源とされてきた風応力の関与を明確に否定する一方で,粗い海底凹凸地形の上を通過する潮流の振幅が増加すると,海底から伝播する内部風下波の砕波に伴って乱流ホットスポットが鉛直上方に著しく広がることを理論的に明らかにされました。この新たな乱流エネルギー源を発見することにより,深層海洋循環は,深海乱流の主要なエネルギー源である潮汐,すなわち「月」の存在に強くコントロールされていることを改めて示されました。 さらに,深海乱流計による観測結果を基に乱流パラメタリゼーションの改良を進め,特に, 海洋の中・深層での乱流強度を正確に予測するIjichi-Hibiyaパラメタリゼーションを新たに構築されています。


日比谷教授と文部科学省海洋地球課 大土井課長(文部科学省にて)

深海乱流の実態把握とその物理機構の解明に関するこれら一連の画期的な研究成果は,欧米に比べて立ち遅れていた日本の乱流研究を飛躍的に発展させるとともに,深層海洋循環モデルの高精度化,ひいては,気候変動予測の高精度化に著しく貢献するものとして注目を集めています。このたびのご受賞を心よりお祝い申し上げますとともに,今後益々のご活躍を祈念いたします。

理学部ニュース2022年1月号掲載

 

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