大小田結貴さんが2021年度 第16回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を受賞
山本 智(物理学専攻 教授)
大小田結貴さん
物理学専攻博士課程3年の大小田結貴さんが「ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞」を受賞されました。この賞は,日本ロレアル株式会社が日本ユネスコ国内委員会の協力のもとに創設したもので,日本国内で,物質科学または生命科学分野における博士後期課程に在籍,または同課程に進学予定の女性科学者を対象として,上記の両分野からそれぞれ2名を毎年表彰しています。
大小田さんの受賞は物質科学分野で,受賞タイトルは「宇宙に拡がる物質で解き明 かす星と惑星系の“始まり”」です。大小田さんは,恒星の誕生現場をアルマ望遠鏡によって観測し,得られた分子分布をもとに,誕生直後の原始星において,惑星系のもととなる円盤構造がすでに形成していることを見出しました。また,その段階の原始星が,アウトフローの大きな方向変化などの激しい活動性を伴うことを,衝撃波領域に特徴的な分子分布を手掛かりにして明らかにしました。これらは,いずれもこれまで予想されていなかった現象であり,「星と惑星系の“始まり”」の新しい姿を描き出した点で,太陽系の起源の理解を進めることに貢献しました。大小田さんの研究は,星・惑星系形成過程とそこでの物質進化の理解という天文学・宇宙物理学としての意義のみならず,物質科学研究の広がりとしても高く評価され,今回の受賞に輝きました。大小田さんの今後益々のご活躍を期待しています。
理学部ニュース2022年1月号掲載