ノーベル物理学賞の真鍋淑郎博士が文化勲章を受章

 
日比谷 紀之(地球惑星科学専攻 教授)


真鍋淑郎博士

2021年ノーベル物理学賞の受賞が決定した真鍋淑郎先生が,2021(令和3)年度文化勲章を受章されました。

真鍋先生は,1953年に本学理学部をご卒業後,1958年に同大学院数物系研究科において「凝結現象の綜観的研究」で理学博士を取得されました。その後,渡米されて,米国海洋大気庁地球流体力学研究所上席研究官,プリンストン大学客員教授として気候研究を続けてこられました。90歳になられた現在も同大学上席研究員として精力的に研究をされています。

真鍋先生は,1960年代初頭から高性能のコンピューターを駆使して先駆的な研究成果を挙げてこられました。1964年には,現実の地球大気の鉛直構造を理論的に再現できる大気大循環モデル,いわゆる「放射対流平衡モデル」を開発され,1967年にはシミュレーション結果から,大気中の二酸化炭素濃度の上昇が地上の気温に与える影響を世界で初めて定量化されました。1969年には,海洋物理学者のカーク・ブライアン博士と共同して大気循環と海洋循環とを組み合わせた「大気海洋結合モデル」を世界で初めて開発され,気候システムの基本構造を明らかにされるとともに,このモデルを基盤としたシミュレーション結果から,地球温暖化予測を世界に先駆けて実現されました。これらの成果は,1990年の気候変動に関する政府間パネル (IPCC)第1次報告書の地球温暖化予測に関する理論的基礎となっています。

真鍋先生のこれらのご業績は国際的に極めて高く評価されており,代表的な賞として,2015年にはベンジャミン・フランクリン・ メダル,2018年にはクラフォード賞が授与されています。そして2021年には「地球気候を物理的にモデル化し,変動を定量化して地球温暖化の高信頼予測を可能にした業績」により,独マックスプランク研究所 (Max-Planck-Institute)のクラウス・ハッセルマン(Klaus Ferdinand Hasselmann) 博士とともにノーベル物理学賞を受賞されることが決まりました。

この度のご受章を心よりお祝い申し上げますとともに,今後益々のご活躍を祈念いたします。

理学部ニュース2021年11月号掲載



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