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理学部ニュース

コロナ禍での学生のメンタルヘルス

学生支援相談員
鈴木 拓朗,李 智慧,遠藤 麻美

理学部学生支援室の連載も,今回で最後の第3回目となりました。最後の回では,コロナ禍で生じた学生のメンタルヘルスの特徴やその支援の方針についてご紹介します。

新型コロナウィルスの感染拡大によって世界中の生活様式に変化が生まれ,大学においても,遠隔授業を急ピッチで準備したり,講義室内の収容人数を制限したり,実験や実習において直接的な接触を回避するような対策を行ったりと,学業や研究活動に大きな変化が生じています。しかし,変化は目に見える生活様式だけではなく,そこで暮らす人々のメンタルヘルス(心の問題)にもさまざまな影響を与えています。例えば,感染対策によって普段通りの生活が送れないことで,学業や就職活動への影響を懸念し,将来への漠然とした不安を抱く方も多くいます。また,行政による緊急事態宣言や大学での活動レベルの制限によって,社会生活全般が不自由になり,スムーズにこれまで通りの生活を送れないことで気分が落ち込んだり,過度の我慢を強いられることに対して苛立ったり,不満を抱いたりする方もいます。特に,遠隔授業や自粛要請に伴い,家で過ごす時間が長くなり,孤独感を抱くようになった事例が目立っ ています。「(新入生から)友達を作る場所がない。どう作ればいいのかわからない。」「教室で隣の人に講義のことなどを聞くことができない。」など,学生同士のつながりが希薄であるために孤独感を感じたり,学業についていけず取り残されてしまう事例が散見されます。

コロナ禍に見られるメンタルヘルスの不調には,個別の対応や一般的なストレス対処法に加 え,周囲とのつながりを保ち孤立を避ける支援が非常に重要であると考えています。当室では,教員にアクセスしにくい学生に対して,当該教員との面談の機会を作るよう仲介をしたり,相談内容の支援により適している他の相談機関を紹介したり,学生対応に悩んでいる教職員に助言をしたりなど,学生が周囲とつながりを持てるよう支援を行っています。また,当室を知ってもらうことが最初の課題ですので,新入学ガイダンスで当室の紹介を行うなどの広報活動を積極的に行い,先生方からも心配な様子がある学生に当室をご紹介いただくよう働きかけています。


入室時のアルコール消毒と検温をお願いしております

面接形式においても,当初はあくまで感染症対策の一環としてオンライン面接を導入しましたが,結果的に学生がより支援につながりやすい環境となりました。心身の不調が現れると,外出すること自体が億劫になり閉じこもりがちになってしまいます。このような場合,継続的に支援を行っていくことが難しくなりますが,オンライン面接はこの点を補うことができる一つの方法であると考えられます。今後,感染状況が落ち着いたあとも,オンライン面接を継続していくことを検討しています。

目まぐるしく変化していく社会情勢の中で,学生支援においても,その時の問題とニーズを汲取り,柔軟に支援体制を整えていくことが課題となります。学生や教職員の方々の声を聴き,今後も支援の拡充に努めていきます。現在感染対策のために対面面談を制限しておりますが,お困りの際はまずはメールやお電話でお気軽に学生支援室 へご連絡ください。

理学部ニュース2021年9月号掲載



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