理学部臨時公開講演会および第33回公開講演会の開催
飯野 雄一(広報室長/生物科学専攻 教授)
講演会ポスター (上:理学部臨時公開講演会,下:第33回東京大学 理学部公開講演会) |
理学部・理学系研究科では年1~2回のペースで広く一般向けに理学の面白さを伝える公開講演会を開催している。2020年3月に予定していた第32回公開講演会がコロナ禍のため延期となりようやく2020年12月9日(水)にオンラインで行っ た記憶も新しいところであったが,全国を沸かせた12月6日(日)の「はやぶさ2」の サンプルリターンを受け,プロジェクトに重要な役割を果たした本研究科の3名の教員による臨時の公開講演会を開催することを決定し,2021年2月23日(祝・火)を選んで開催した。
当日は,午後に3講演を小柴ホールよりオンラインで配信した(図)。杉田精司教授(地球惑星科学専攻)による「探査機はやぶさ2が明かした小惑星リュウグウの姿」では,はやぶさ2の接近により得られた小惑星リュウグウのなりたちについて,諸田智克准教授(地球惑星科学専攻)による「リュウグウ表面へのタッチダウンまでの道のり」では,困難なリュウグウ表面への着陸を成功させるまでの道のりについてリアルな映像を交えて紹介された。続いて,橘省吾教授(宇宙惑星科学機構)による「リュウグウからの玉手箱の中身は?~これからの分析への展望~」では,オーストラリアに落下されたサンプルの回収劇と初期分析についての話が臨場感を持って語られた。世の関心の高さを象徴するように,最高視聴者数695名と小柴ホール定員の数倍の視聴者が講演会に参加した。参加者の年齢層が幅広かったことが特徴で,10代,50代に二つのピークがみられた。Webシステムslidoを利用してオンタイムの質問を受け付け,講演者の研究室の大学院生が質問を仲介するという形で双方向性の対話ができる講演会とした。この方式に対する参加者の満足度も高かった。
図:臨時公開講演会の様子(講師:宇宙惑星科学機構 橘 省吾 教授)
引き続き,第33回の公開講演会を2021年 3月11(木)日の午後に同じく小柴ホール より配信した。臨時講演会同様,双方向性 の講演会とした。塩谷光彦教授(化学専 攻)による「分子デザインと偶然の産物,化学の新境地を拓くのは?!」では,ぐる ぐる回るなどデザイン通りに分子を設計す る作業の醍醐味が,樫山和己助教(ビッグバン宇宙国際研究センター)による「ブラックホールをとらえる」では,光をも吸い込むブラックホールをいかに観測するか,ブラックホールはどのくらいあるのか,といった宇宙の壮大な話が語られた。続いて小金渕佳江助教(生物科学専攻)による「下戸遺伝子と琉球ゲノムで紐解くヒトの歴史」では 現代人の個々人の性質を決める遺伝子とその起源を探る大規模遺伝子解析など身近で深淵な話題について紹介された。ライブによる最高視聴者数は428名で,本講演会も多くの視聴者の関心を集めた。
両講演の開催の準備,収録,配信は広報室と情報システムチームが協力して行なった。講演会を視聴頂いた皆様と,さまざまご助力いただいた皆様に深く感謝したい。
理学部ニュース2021年5月号掲載