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理学部ニュース

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理学部ニュース2025年9月号掲載
理学の本棚

「20世紀科学論文集 現代宇宙論の誕生」

仏坂 健太(ビッグバン宇宙国際研究センター 准教授)

須藤靖編

「20世紀科学論文集 現代宇宙論の誕生」 

岩波文庫(2022年)
ISBN  978-4-0033-95110

今年のテーマは「宇宙」になりました!娘が通う保育園では,宇宙をテーマに工作したり,お話しを聞いたりするそうだ。皆さんも,宇宙について想像を膨らませたことがあるのではないだろうか。宇宙は,壮大でありながら,とても身近な不思議な存在である。

宇宙への探究の歴史は長く,古来から神話を生み,哲学を深めてきた。そして現代では,宇宙は科学の対象となり,その年齢や構成要素が驚くほど正確に測定されている。この哲学から科学への大転換は20世紀に起こり,アインシュタインの一般相対論を皮切りに,膨張宇宙や宇宙背景放射の発見へとつながっていった。

宇宙論の入門書は数多くあり,ある程度の知識をお持ちの方も少なくないだろう。しかし,宇宙論の転換点を築いた原論文に触れたことはあるだろうか。本書では「一般相対論」,「宇宙定数の導入」,「膨張宇宙解」,「宇宙膨張の発見」,「ビッグバンモデル」,「宇宙マイクロ波背景放射の発見」といった研究を取り上げ,それぞれの原論文を専門家の解説とともに日本語で読むことができる。難解に見える数式や概念,馴染みの薄い観測データが登場するが,理解を助ける注釈が添えられている。原論文と解説をセットで読むことで,発見当時の臨場感や,科学者たちの試行錯誤を感じ取れるだろう。本書を手に取り,現代宇宙論の原点を旅してみてはいかがだろう。