2024年度理学系研究科・理学部諮問会が開催されました
榎本 和生(2024 年度 副研究科長/生物科学専攻 教授)
2025年2月21日(金)に,2024年度(第24回)理学系研究科・理学部諮問会が開催された。2024年度はアカデミアでご活躍されさまざまな経験をお持ちの先生がた6名に諮問会委員をお願いしており,当日は川合眞紀委員(議長),奥村幸子委員,小安重夫委員,花輪公雄委員,福田裕穂委員にご参加いただき,11時から研究室見学を挟み17時30分まで,対面で活発な意見交換が行われた。
本年度の諮問会は,大越慎一研究科長の提案により,2023年度までとは形式を変更し,事前に委員の皆さまに資料を送付し,当日の資料説明にかける時間を極力少なくして,できるだけ多くの時間を問題把握と議論に費やすようにした。
まず,理学系研究科の研究力について,研究科長から客観的データを簡単に紹介し,それに基づいて議論を行った。委員からは,東大や理学系の研究力が絶対的に低下している訳ではないので,あまりに目先の数字にとらわれて一喜一憂する必要はなく,理学系教員や研究の国際的なビジビリティー強化など,長期的なビジョンの中で研究力や発信力の強化を計って欲しいとのご意見をいただいた。また,給与体系に柔軟性を持たせることで,サイエンスを国際的にリードできる教員を国内外からリクルートできるのではないかとのアイデアをいただいた。関連して,教員の研究時間確保の観点から,サバティカル制度の有効利用についても活発な議論があった。
次に国際派遣プログラムについて議論し,理学部学生国際派遣プログラムSVAP(Studyand Visit Abroad Program)やUTRIP(The University of Tokyo Research Internship Program)など学生の国際交流プログラムについて説明があった。委員からは,昨今の経済的な状況などから,学生が日本から海外に出ることの心理的バリアが高くなっているので,国際先導やASPIREなどの派遣プログラム等も有効に使ってサポートするアイデアもいただいた。
続いて松尾泰研究科長補佐・教務委員長から学部と大学院での教育について,佐藤薫副研究科長から男女共同参画室について,井出哲研究科長補佐から学生支援室とキャリア支援室について,常行真司副研究科長から研究支援総括室の活動について,榎本和生副研究科長から広報委員会・広報室について,再度佐藤薫副研究科長から環境安全管理室について報告があった。
続いて,国際化の取り組みについて,海外大学とのダブルディグリープログラムや,グローバル基礎科学教育プログラム(GSC),グローバルサイエンス国際卓越大学院コース(GSGC),グローバルスタンダード理学・理学部国際コース,ライフイノベーション棟計画について説明があった。委員からは,国外からの学部生・大学院生数を増やすために,講義の全英語化など取り組みに加えて,学部,修士課程からの学費援助などについても考えることを提案いただいた。また,今後の施策を考える上で修了生の追跡調査の必要性などについてもご示唆をいただいた。
続いて,多様性の取り組みについて,佐藤薫副研究科長から理学系の現状について説明があり,今後,大学や理学系として,さまざまな 多様性を確保するために可能な施策について議論した。委員からは,長期的な視野に立った取り組みについてアイデアをいただいた。
最後に,国立研究所,企業,地方大学との連携について,理学系と理化学研究所との連携や,寄付講座・社会連携講座の取り組みについて説 明があった。委員からは,国立研究所の施設の共同利用,クロスアポイントなどを利用した企業との連携,オンライン/オンデマンドなどを積極的に利用した地方大学との連携,などのアイデアをいただいた。
以上のように,諮問委員の先生方からたくさんの建設的なご意見やアイデアを伺うことができたことは,理学系研究科・理学部の今後の運 営を考える上でたいへんありがたく,諮問会は共に将来を考えていただける強い味方であることを痛感した。改めて,貴重な時間を割いて諮問会にご出席いただいた諮問委員の先生方に,心より感謝の意を表したい。
別表:諮問会委員名簿(敬称略)
家 泰弘 学校法人中部大学 総長
奥村幸子 日本女子大学理学部 教授
川合眞紀 自然科学研究機構 機構長
小安 重夫 量子科学技術研究開発機構 理事長
花輪 公雄 山形大学 理事・副学長
福田 裕穂 秋田県立大学・学長