第37回理学部公開講演会の開催
榎本 和生(広報室長/生物科学専攻 教授)



公開講演会の様子
上:松井千尋准教授,中:片山なつ准教授,下:井出哲教授
2025年3月10日(月)に「理学で探る未来」と題した第37回の公開講演会をハイブリッド形式(小柴ホールでの現地参加と理学部YouTubeチャンネルでのライブ配信)で実施した。毎年度末,広く一般向けに理学の面白さを伝えるために開催している。
大越慎一研究科長の挨拶に続き,3つの講演が行われた。数理科学研究科の松井千尋准教授は「ミクロな法則でマクロな世界を描く」と題し,「マクロな世界」の例として「コーヒーが冷める」「アイスクリームが溶ける」といった身近な熱平衡化現象を挙げ,それらをミクロな物理法則で記述しようとする統計力学のアプローチについて解説した。生物科学専攻・片山なつ准教授の演題は「Wonder of Plants変なカタチの水生植物」。豊富な画像をまじえ,一般的に被子植物と聞いてイメージする姿とは程遠い「変なカタチ」だったからこそ過酷な環境で生き残ることができた種を紹介。進化のダイナミズムを感じさせた。最後は地球惑星科学専攻の井出哲教授が「地震の予測はなぜ難しい?」という問いに,地震「予知」と「予測」の違い,国の防災計画との関連にも言及しつつ,地震が起きるメカニズムから震源での物理現象まで広範な視点から応答した。参加者は真剣な面持ちで聴き入っていた。
現地参加者数は132名,YouTubeライブ配信の最高同時視聴数は144。分子単位のミクロな運動から地球規模の物理現象まで,理学研究のスケールを体感していただける講演会になったと思う。当日は広報室と情報システムチームが運営した。ご協力を賜った皆様にも感謝を申し上げたい。