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理学部ニュース

 

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理学部ニュース2025年5月号掲載
理学の本棚

「マテリアル・機械学習・ロボット」

一杉 太郎(化学専攻 教授)

一杉 太郎(編)
「マテリアル・機械学習・ロボット」 

東京化学同人(2024 年)
ISBN 978-4-8079-13480

皆さんは,日常生活で機械学習やロボットを使っているでしょうか?

そうですよね,知らず知らずのうちに,私たちは機械学習を多く使っています。スマートフォンの音声認識や顔認証,オンライン会議のバーチャル背景など,今では当たり前ですね。ロボットも,掃除や配膳,警備,自動運転など,私たちの生活に欠かせない存在になっています。このように,機械学習とロボットに囲まれて我々は生活しています。

実は今,こうした技術が研究現場でも活用され,研究の進め方を劇的に変え始めています。研究活動の一部を機械学習やロボットに任せることにより,研究者はより高い創造性を発揮することが可能になるでしょう。コンピュータが実験結果を検討して次に行うべき実験を決定し,ロボットが実験を進める「自律化」も実現しています。

もっとも重要なことは,人間が持つ勘や経験,そして知恵を,これら最新技術と融合させ,データを活用した新しい研究スタイルを築くことです。私自身,研究者の頭の使い方が大きく変わってきていることを実感しています。本書にはマ テリアル研究分野( 化学,材料,物性物理等) を中心に,具体的な導入方法や技術が記載されています。

このような変化の中,人材育成も急務です。化学科では2024年度から「情報化学」を開講し ました。最先端の研究スタイルを学んだ学生さん達が,どんな成果をこれから出してくれるのか非常に楽しみです。

皆さんも本書を手に取り,研究のあり方を一緒に考えてみませんか?