東京大学アタカマ天文台(TAO)望遠鏡サイト完成記念式典が開催されました
宮田 隆志(アタカマ観測所長/天文学教育研究センター 教授)
東京大学がチリ共和国に建設を進めてきた,東京大学アタカマ天文台(The University of Tokyo Atacama Observatory:TAO)のサイト完成記念式典が2024年4月30日にチリ・サンチャゴ市内で開催されました。日本・チリからの参加者を中心に総勢202名が出席する盛大なものとなりました。東京大学からは35名の方に参加いただきました。
東京大学アタカマ天文台(TAO)望遠鏡サイトツアーの様子
記念式典では東京大学の藤井輝夫総長と吉井譲TAOプロジェクト代表からサイト完成に至る経緯と,ご支援いただいた皆様に対して感謝が述べられました。チリ科学技術知識イノベーション大臣,文部科学省文部科学副大臣,駐チリ日本国大使,チリ外務省科学エネルギー教育イノベーション天文学部門局長からは今後の研究への期待が述べられました。引き続き行われたレセプションでは鏡開きなども行われ,終始和やかな雰囲気で会が進みました。最後は大越慎一研究科長・理学部長の「Viva Chile」の言葉で幕を閉じました。
式典後には,日本から参加いただいた方々を対象に,TAO望遠鏡サイトツアーを実施しました。40名の参加者は酸素を背負い,標高5,640 mに完成した建物やTAO望遠鏡を過酷な環境から守るために建てられたエンクロージャーを見て回りました。エンクロージャーの動作デモも実施しました。当日は風も強く,雪もちらつく厳しい環境で,期せずして建設を担ったワーカーの苦労の一端を体験していただくこととなりました。山頂でカップ麺を食べたときには皆さん満面の笑顔でした。
この式典を通じて,TAO計画の26年間の歩みを多くの皆様にご理解いただけたと思います。引き続きのご理解ご支援をよろしくお願いいたします。