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理学部ニュース

群れから新しい物理学の世界を切り拓く!

西口 大貴

(物理学専攻 助教) 

2012年3月 東京大学理学部物理学科卒業。2017年 東京大学 大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。2017〜2019年 フランス・パスツール研究所にて訪問研究員,博士研究員などとして研究に従事。2019年〜現職。2020年第14回日本物理学会若手奨励賞


Q. 中高生の頃どんなことに興味を持っていましたか?
A. 物理の実験
目で見える現象を論理的に理解できることが魅力でした。高校1年時に物理部を立ち上げて,放課後に実験をし,文化祭で演示実験をしました。理論計算では無視した摩擦などの影響で,実際の実験では計算通りにいかないことも目の当たりにし,実験の面白さと意義を実感しました。どのようにすれば理論を検証できるのか,実験系を試行錯誤しながら改造したり,実験と理論のズレを説明するような理論解釈を考えたりして楽しみました。

Q. 学生さんにおすすめする本や教科書は?
A. 「微生物流体力学:生き物の動き・形・流れを探る」
石本健太著の新しい教科書です(2022年)。専門的な本ですが,物理学を使って生き物の運動や群れの挙動をどのように理解できるかが丁寧かつ活き活きと描かれていて,大変魅力的です。

Q. 座右の銘は?
A. Mure is different.
(1年前に私が作った言葉です)“More is different”=「原子や分子がたくさん集まると,個々からは想像できない性質が現れる」という有名な言葉をもじりました。動き回る生き物などの集団=群れ(Mure)に物理学を革新するヒントが潜んでいるという理念です。

Q. 趣味はなんですか?
A. 2歳の娘と遊ぶこと
水族館や動物園で魚の群れや動物の動き・模様を観察したりするのは,とても楽しいです。最近は,一度に大量のシャボン玉を作ると,同じ場所からスタートしても風に乗って散り散りに拡散していく様子に感動しました。

Q. 自分は運がいいと思う?
A. とっても運がいいと思います!
学生のときにアメリカの研究室に滞在した際,当初計画していた実験が装置の故障でできず,代わりに考えた実験がとても面白い結果になりました。そのほかにも色々ありますが,いずれも周囲の皆さんの支えのおかげです。

Q. 転生できるとしたら?
A. バクテリア(動物ではないけども)
普段実験に使っているけども,彼ら彼女らの気持ちを知りたい。なぜ実験がうまくいくときとうまくいかない時があるのか,バクテリアちゃん達の気持ちをちゃんと理解したいです。

ー メッセージ ー

物理学は(少なくとも自分の)世界観を変えるよ!

 

 

 

理学部ニュース2024年7月号掲載

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