岡田康志教授が第16回中谷賞大賞を受賞
井手口 拓郎(フォトンサイエンス研究機構 准教授)
物理学専攻の岡田康志教授が第16回中谷賞大賞を受賞しました。中谷賞は医工計測技術分野において優れた業績を上げた研究者に贈られる賞であり,岡田教授は「一分子・超解像蛍光顕微鏡法の開発と細胞生物学研究への応用」により大賞を受賞しました。
岡田康志 教授
超解像蛍光顕微鏡は,従来の光学顕微鏡では観測できなかった微細な構造を可視化する技術であり,生物学研究に大きな貢献をしています。この技術は広く認知されており,2014年には開発者らにノーベル化学賞が授与されています。岡田教授は,スピニングディスク超解像顕微鏡という独自の手法を開発し,従来の超解像顕微鏡よりも約10倍速く撮影できる技術を実現しました。この技術により,生きている細胞内で活動する種々の細胞内小器官の動きを世界で初めて観察し,従来の教科書に記載されている知見の見直しに繋がる発見をしました。さらに,遺伝子や発現調整因子の直接観察にも成功しています。この手法は顕微鏡メーカーに技術移転され,世界中で広く使用されています。
これらの一連の研究は,生物学の基本的な問題に対峙するために独自の観察技術を開発し,世界で初めての観察を通じて新たな知見を明らかにしたものであり,革新的です。この度の受賞を心からお祝い申し上げますとともに,今後のさらなるご活躍をお祈りいたします。