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理学部ニュース

理学のタマゴ 

「構造生物学で目指すくまモンへの道」

清水 琉生(生物化学科 4年生) 
出身地:東京都
出身高校:渋谷教育学園渋谷高等学校
出身学部:東京大学理学部生物化学科 4年生


Q. 高校生におすすめする本や教科書は?もしくは,自分の好きな本は?
A. 「モモ」ミヒャエル・エンデ*「進化しすぎた脳」池谷裕二
効率が良いことが必ずしも正義とは限らない。モモの振る舞いからの学びは多く,現代に跋扈(ばっこ)する価値観の良し悪しを批判すると面白い。薬学部の池谷裕二教授が科学的根拠に基づいて高校生を脳科学に導く1冊は,自分も高3で読み,東大での研究に胸を膨らませた。*Michael Andreas Helmuth Ende

Q. 座右の銘もしくは心の師匠は?
A. 変わらないために変わり続ける
SEKAI NO OWARIの「アースチャイルド」の歌詞の一節で,バンドの姿勢にも表れている。動的平衡という意味では生命の根本にも通じ,自分が新しくなっていくことこそが己を貫く芯を作り上げると考えている。

Q. 理学部に進学しようと思ったきっかけは?
A. 構造生物学との出会い
高校生物は楽しくても理解しきれなかった。哲学,食品,化学系への進学も考えていたが,前期課程で受講した総合科目「分子生命科学」の授業で,原子レベルの解像度で生命現象を理解する構造生物学の話を濡木理教授から聞いて,モヤモヤが消えゆく感覚があった。

Q. 研究や学問のどこが楽しいですか?
A. 楽しいことこそが研究であり学問だと思う
学術分野についてまずは知り,自分の物差しで魅力を見いだせば,どんな分野でも楽しく思えると信じている。楽しいとき,人は熱中して多くのことを考えているが,対象が何であれ,そこにはもう研究や学問の萌芽がある。

Q. 今と違う研究をするとしたら,どんな研究に興味がありますか?
A. 超伝導や核融合
工学部物理工学科(当時)の鹿野田一司教授の講義を前期課程に受講した影響が大きい。常温超伝導は世界のエネルギー生産や計算技術に革命をもたらし,核融合は超伝導技術の上に成り立つ,地球上に太陽を作る研究。どちらも常識が塗り替わるロマンを感じる。

Q. 趣味はなんですか?
A. SEKAI NO OWARIやMr. Childrenのライブコンサートへ行く
音楽は五感で聴くもの。演出や届けられる詞や音からその時の自分が省みられる。両アーティストは擢(ぬき)んでている。エンターテインメントの力、生きている喜びをありありと感じ毎度大きな学びがある。

Q. 自分は運がいいと思う?
A. 0度の水が蒸発するくらい良い
今に至るまで不思議と良い師に恵まれる。親や友人も含め,自分の生き方を変える師が常に周りにいる。自分の好きな先生が誰かにとっては嫌いな先生なこともある。その人の良さを見出せてばかりの自分は運が良い。

Q. 将来の夢はなんですか?
A. 触覚を使ったメディアを作る,小中高等学校を作る。
個人に重きが置かれすぎる現代には,人が集まるメディアが足りない。何かに触れてそれを共有するとき,人々は集まりそれに注目する。このことから「触覚」が人を集める鍵になると考えている。学校は子どもが集まって触れ合い,未来を育てる場。可能性を最も強く感じている。

Q. 日々の研究や勉強で,息抜きには何をしていますか?
A. 好きなだけ本を読む
西洋哲学,日本思想,四書五経などの古典,倫理,教育,法律に加え,気象学や医学の読み物,岩波科学ライブラリーのシリーズなどがとにかく楽しい。手で本に触れながら面白い世界を知る時間は,研究や勉強とは別のワクワクがある。

Q. インスピレーションの源は?
A. くまモンの姿
誰かの幸せを作るものにインスピレーションを感じる。くまモンは公務だけでなく先端研の研究員も務め注),何事も全力で楽しむ姿で人々を幸せにする。まずは自分が楽しみ,常日頃から,自分が誰かを楽しませるイメージを確かめている。

注)本学の先端科学技術研究センターは,2018年,自治体連携協定を結んでいる熊本県の人気キャラクター「くまモン」を「せんたんくまモン研究員」に任命した。

3Sにとっていた生体物質化学Ⅱおよび食品化学(農学部)の講義を受けて構造式を書き出していたもの。毎日30分くらいで白紙に書いて筋肉で暗記した

ーMessage ー

学びの感動をいつも誰かに伝えてみて