「理学部ニュース」の顔
國友 博文(生物科学専攻 准教授)
皆様にご覧いただいている「理学部ニュース」の基本的なデザインは,このところ,おおむね10年ごとに更新されている。現行のものは2015年度発行の第47巻で採用された。このときの変更は著しく,表題が「東京大学理学系研究科・理学部ニュース」から「理学部ニュース」になったほか,目次や連載記事のレイアウトが大きく変わった。雑誌の顔といえる表紙は,いかにも機関広報誌,といった従来の趣から一変した。ページいっぱいの写真を背景として,読みやすい文字で表題や記事のタイトルがゆとりをもって配置されている。手前味噌で恐縮だが,思わず手に取りたくなる,とても洗練された装丁だと思っている。
ところで,表紙には巻(年度)ごとにテーマが設定されているのをご存知だろうか。年度末が近づくと,広報誌編集委員会では次年度の表紙・裏表紙のテーマが検討される。理学部・理学系研究科の財産である構成員とその活動,研究の成果物,歴史あるもの,書籍,施設・設備,ほかにも窓からの風景や知られざる〇〇など,さまざまな候補が挙がる。話題性や時流に適しているか,以前のテーマと被らないか,あるいは映えるか,などの議論を経て民主的に決定される。現行デザインとなった第47巻からの経緯を見てみると,理学系研究科の建物,理学部生のいる風景,理学部の図書館,研究装置やそれを使用している風景,理学の貴重図書,…といった具合である。表紙の写真は,いずれも,理学部・理学系研究科がもつ歴史や奥深さ,躍動感が伝わる素晴らしいものだ。これらは,原則としてプロのカメラマンに撮影を依頼している。先日,本号の表紙の撮影現場に立ち会う機会を得た。撮影場所やカメラアングルの検討,被写体との打ち合わせ,さらに著作権や肖像権の検討など,プロの念入りな仕事ぶりに感服し,「理学部ニュース」の出版が多くの人に支えられていることを改めて実感した。
左から順に,1969年第1巻1号,2002年廣報の名前の頃,2003年理学部ニュースとなった最初の号,
2013年第46巻までのデザイン(理学部旧1号館),1番右は現在のデザイン(三四郎池,2016年)
2024年度第56巻の表紙のテーマは「ひとが集まるイベント」。新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後,相応の人数が対面で集まる機会が戻ってきた。そのとき,その場所に居合わせなければ得られない何かが,そこにはある。理学部・理学系研究科の学生や教員が,実験・実習やイベント,発表会などでアクティブに活動している場面を紹介する予定である。今後もぜひ「理学部ニュース」にご期待いただきたい。