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理学部ニュース

高校生からの天文学「驚異の太陽」

鈴木 建(総合文化研究科  教授)

鈴木 建  著
高校生からの天文学「驚異の太陽」
太陽風やフレアはどのように起きるのか
 

日本評論社(2020年)
ISBN  978-4-535-78863-3

本書が発売されたのは2020年4月,ちょうどフルオンライン講義が始まった頃である。それから3年半が経ち,「コロナ」というとまず真っ先に連想するのがウィルスになった感があるが,以前は「太陽コロナ」が,トヨタの車種と双璧をなす(?)連想ワードであった。

太陽コロナは太陽大気上層部にある,100万度を超えるプラズマの層で,コロナからは太陽風が吹き出しており,巡り巡って地球に到達したものは,オーロラの原因にもなる。そして本書が扱うのが,私が大学院時代より研究対象としてきた,太陽コロナや太陽風である。

太陽の表面は光球と呼ばれ絶対温度で6000度弱で,太陽のおおもとの熱源は中心付近で起きる核融合反応にあるため「低温」の光球の上にある高温コロナは,熱源から離れると温度が上昇,つまり,熱の流れの方向に矛盾する「驚異」の状態にあることを意味する。

本書ではこの理由を,磁気流体力学を使って説明している。磁気流体力学は流体力学と電磁気学を組み合わせたもので,私は天文学専攻の大学院講義で扱っているが,本書ではタイトルにもある「高校生からの天文学」に見合うよう,式を使わずに磁気流体力学の説明を試みている。各種ブックレビューを見てみると「さすがに高校生...は無理がある」的なコメントが散見されるので,この試みは成功したとはいえないようであるが,この理学部ニュースを読んでくれている大学(院)生に丁度良いレベルと都合良く解釈したいと思う。


 

理学部ニュース2024年1月号掲載

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