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理学部ニュース

横溝和樹助教が第40回井上研究奨励賞を受賞

村上 修一(東京工業大学 教授)

 


横溝和樹 助教

横溝氏は東京工業大学理学院物理学系博士課程在学中に,非エルミート系でのブロッホ理論の一般的な構築を行いました。空間的周期性をもつ非エルミート系においては非エルミート表皮効果という特異現象のために,開放境界条件でのエネルギースペクトルを記述する理論がありませんでした。横溝氏は1次元系の場合にブロッホ波数は複素数となることを示し,その複素波数の集合(一般化ブリュアン域)を決定する一般的方法を1次元において確立しました。その結果,一般化ブリュアン域が尖点を持ちうること,また系のパラメータに依存することなど,エルミート系と全く異なる振舞いを見出しました。さらに,非エルミート系で破綻すると思われていたトポロジカル相のバルクエッジ対応が,一般化ブリュアン域を用いることで成立することを示しました。これにより,エルミート系でのトポロジカル相の物性を,非エルミート系へも拡張する基礎を作りました。これらの成果は,非エルミート物理におけるバンドトポロジーの研究発展に大きく貢献するとともに,さまざまな物理系へも応用されています。これらの点が評価され,今回の受賞につながりました。

横溝博士は学位取得後,物理学専攻蘆田研究室助教として,本研究成果を生かしてアクティブマター等の分野へと研究を展開しており,今後のますますのご活躍が期待されます。

 

理学部ニュース2024年1月号掲載

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