DATE2023.07.20 #Press Releases
全ゲノム配列解析により見えてきた沖縄島と宮古諸島の集団の形成過程
琉球大学
東京大学大学院理学系研究科
発表概要
琉球大学医学部先端医学研究センターの小金渕佳江特命助教(現・東京大学大学院理学系研究科)、琉球大学大学院医学研究科の松波雅俊助教、今村美菜子准教授、前田士郎教授、石田肇名誉教授、木村亮介教授の研究チームによる研究成果が、人類遺伝学の学術雑誌「Journal of Human Genetics」誌に掲載されました。
本研究では、琉球列島の人々の詳細な集団形成過程を明らかにするため、沖縄島出身者25名と宮古諸島出身者25名の集団ゲノム解析を行い、沖縄島の人々と宮古諸島の人々は異なる遺伝的背景をもつことを確認しました。
現在の沖縄島と宮古諸島の人々の成立過程を説明するには、両者の祖先として同一の琉球縄文人集団が想定できました。本州日本から琉球列島への移住がグスク時代にあったと想定されますが、沖縄と宮古の祖先集団で本州日本からの移住率が異なる可能性が示唆され、現在の宮古諸島内に存在する集団構造は、グスク時代以降に生じた島間の複数回の移住によって説明できることが確認されました。
本研究成果は、琉球列島の人々の複雑な歴史を明らかにし、東アジアを俯瞰した過去の活動を紐解く一助となります。
図:全ゲノム配列データを用いて主成分分析を行なった結果。横軸は第1主成分得点、縦軸に第2主成分得点を示す。一つ一つの点は個人を表しており、点と点の間の距離は遺伝学的な違いを反映している。この図では地域集団ごとに色分けをしている。(A)琉球列島と東アジアおよび東南アジアの集団。(B)漢族、本州、沖縄、宮古の集団。
詳しくは、琉球大学 のホームページをご覧ください。
発表雑誌
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雑誌名 Journal of Human Genetics論文タイトル Demographic history of Ryukyu islanders at the southern part of the Japanese Archipelago inferred from whole-genome resequencing data(全ゲノム配列解析データから推定された日本列島の南部に位置する琉球列島の人々の集団史)DOI番号