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Press Releases

DATE2022.06.23 #Press Releases

4個の中性子だけでできた原子核を観測

 

ーテトラ中性子核の新たな証拠「原子番号ゼロの世界を開拓」ー

 

理化学研究所

ダルムシュタット工科大学

東京大学大学院理学系研究科

東京工業大学

概要

理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター多種粒子測定装置開発チームの大津秀暁チームリーダー、スピン・アイソスピン研究室のバレリー・パニン特別研究員(研究当時、現客員研究員)、ダルムシュタット工科大学のメイテル・デュア研究員、ステファノス・パシャリス研究員(研究当時)、トーマス・オウマン教授、東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの下浦享教授(研究当時)、東京工業大学理学院物理学系の中村隆司教授、近藤洋介助教らの国際共同研究グループは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ」を用いて、4個の中性子だけでできた原子核「テトラ中性子核」の観測に成功し、陽子を含まない複数個の中性子が原子核を構成して存在できる新たな証拠を得ました。

本研究成果は、陽子を1個も含まない、いわば「原子番号ゼロ」の奇妙な原子核を観測したもので、原子核、ひいては元素の安定性を決定づける「核力」のモデルを大きく変える可能性があり、さらには謎の多い超高密度天体である中性子星の理解にもつながると期待できます。

今回、国際共同研究グループは、RIBFで得られるヘリウム-8(8He、陽子数2、中性子数6)のビームと陽子の散乱により、テトラ中性子核(4n)を生成しました。実験を成功に導いたのは、8Heから4個の中性子を撹乱させることなく、ヘリウム-4(4He、陽子数2、中性子数2)を瞬間的に抜き取る反応を用いるというアイデアです。この手法は、テーブルクロス(4He)の上に乗った4個のワイングラス(中性子)を壊すことなく、テーブルクロスを引き抜く様子に例えることができます。

本研究は、科学雑誌『Nature』オンライン版(622日付:日本時間623日)に掲載されました。

 

図:測定で得られた4中性子系のエネルギー分布

 

詳細については、理化学研究所 のホームページをご覧ください。