2022/05/26

4億年前の謎の脊椎動物の正体解明

-シンクロトロン放射光X線マイクロCTによる化石の精密観察-

 

理化学研究所

東京大学大学院理学系研究科

 

概要

理化学研究所(理研)開拓研究本部倉谷形態進化研究室の平沢達矢客員研究員(東京大学大学院理学系研究科准教授)、倉谷滋主任研究員(生命機能科学研究センター形態進化研究チームチームリーダー)らの国際共同研究グループは、シンクロトロン放射光X線マイクロCT(SRXµCT)を用いて、中期デボン紀(約4億年前)の脊椎動物パレオスポンディルス(Palaeospondylus gunni)の化石の頭骨の形態を精密観察し、この動物が陸上脊椎動物の祖先と近縁であったことを発見しました。

本研究成果は、魚類から陸上脊椎動物への移行段階に、従来知られていなかった奇妙な形態パターンを持つ動物が存在したことを示しており、ヒトを含む陸上脊椎動物の初期進化過程の全貌解明に貢献すると期待できます。

今回、国際共同研究グループは、頭骨が完全に保存されたパレオスポンディルスの化石を特定し、大型放射光施設「SPring-8」においてSRXµCTで撮影することで、高分解能・高コントラストの断層像を取得することに成功しました。得られた断層像には、細胞小腔(軟骨細胞が収まっていた腔所)や軟骨膜骨(軟骨周囲の鉱物化した骨組織)などの微細組織構造が見られ、それをもとに頭骨の各骨要素の境界(関節)の形を明らかにしました。パレオスポンディルス頭骨の形態的特徴は、脊椎動物の中でもハイギョなどの肉鰭類と類似しており、系統解析からは基盤的な四肢動物であると推定されました。併せ持つ奇妙な特徴(歯やヒレ/四肢がない)は四肢動物の幼生にも見られることから、幼生的形態の進化的起源は4億年前までさかのぼる、非常に古い可能性が明らかになりました。

本研究は、科学雑誌『Nature』オンライン版(5月25日付:日本時間5月26日)に掲載されました。

 

図:パレオスポンディルスの頭骨の3次元モデル(左側が吻部、右側が後頭部)

 

詳細については、理化学研究所 のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―