2022/02/28

光でイオンを輸送する膜タンパク質の巧妙な仕組み

-XFELが捉えた光駆動型イオンポンプロドプシンの構造変化-

 

理化学研究所

東北大学

兵庫県立大学

京都大学

高輝度光科学研究センター

東京大学

 

概要

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センタータンパク質機能・構造研究チームの白水美香子チームリーダー、保坂俊彰技師、放射光科学研究センター分子動画研究チームの南後恵理子チームリーダー(東北大学多元物質科学研究所教授)、同SACLA利用技術開拓グループ岩田想グループディレクター(京都大学大学院医学研究科教授)、兵庫県立大学大学院理学研究科の久保稔教授、高輝度光科学研究センターXFEL利用研究推進室の登野健介主席研究員、東京大学大学院理学系研究科の濡木理教授、東京大学大気海洋研究所附属地球表層圏変動研究センターの吉澤晋准教授らの共同研究グループは、太陽光などの光を受けて塩化物イオン(Cl)を細胞内に輸送する海洋細菌由来の「光駆動型イオンポンプロドプシン」の構造変化を、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」を用いた高解像度の構造解析により解明しました。

本研究成果は、光駆動型イオンポンプロドプシンのイオン輸送の仕組みを理解する上で重要な知見であり、光を使って神経細胞機能などを操作する光遺伝学(オプトジェネティクス)のさらなる改良への応用が期待できます。

海洋細菌Nonlabens marinusが持つ光駆動型イオンポンプロドプシンNM-R3は、細胞内部に向かって塩化物イオンを輸送する機能を持ちます。

今回、共同研究グループは「SACLA」を用いた「時分割結晶構造解析」により、光照射に伴うNM-R3の構造変化を詳細に捉えることに成功しました。この結果からNM-R3が塩化物イオンを輸送するメカニズムと輸送経路を明らかにするとともに、イオンの逆流や過流入を防ぐ巧妙な仕掛けがあることを見いだしました。

本研究は、科学雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America』オンライン版(2月23日付)に掲載されました。

図:光駆動型イオンポンプロドプシンNM-R3の立体構造(青丸は輸送中の塩化物イオン)

 

なお、本研究成果には、生物科学専攻の濡木理教授のほか、中根崇智特任助教(研究当時)が参加しています。

詳細については、理化学研究所 のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―