2021/06/29

テラヘルツ波を用いて二次元物質の電子相を超高速で制御する新しい手法を実現

 

低温科学研究センター

大学院理学系研究科

大学院工学系研究科

 

概要

東京大学低温科学研究センター、大学院理学系研究科物理学専攻島野亮教授、同専攻の吉川尚孝助教、同大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻中野匡規特任准教授、岩佐義宏教授らの研究グループは、パリ大学のグループとの共同研究で、二次元物質の代表例である遷移金属ダイカルコゲナイドで現れる電荷密度波と呼ばれる量子相にテラヘルツ波パルスを照射すると、新しい絶縁体的な状態へと瞬時に変化することを発見しました。物質に光を照射すると、電気伝導性や磁気的な性質が大きく異なる状態に変化することがあります。この現象は光誘起相転移と呼ばれ、基礎科学の面からも応用面からも従来から高い関心を集めてきました。しかし、光照射の効果は一般には物質の温度上昇をもたらすため、通常は低温で現れる量子電子相は壊れる方向に変化します。

今回、研究グループは、結晶格子の特定の振動を選択的に揺らすことによって、光照射による加熱効果を極力抑えながら、電荷密度波から、約一兆分の一秒という超高速の応答時間で新しい絶縁体的な状態へと変化させることに成功しました。今回実現した量子電子相制御の新しい原理は、超伝導や磁性などの成り立ちを理解するための研究に役立つとともに、超高速で動作する電子デバイスの新たな動作原理を与えるものと期待されます。

図:本研究で実現した電子相制御の概念図。六角格子を持つ3R-Ta1+xSe2薄膜にテラヘルツ波を照射して格子を揺することで自由エネルギーの極小点が変化し、電子相が変化する。

 

詳細については、低温科学研究センター のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―