2021/06/09

「宇宙のものさし」の異端児?

最も高密度な白色矮星による超新星爆発の痕跡を特定

 

JAXA宇宙科学研究所

東京大学大学院理学系研究科

東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構

立教大学

甲南大学

 

概要

東京大学大学院理学系研究科 修士課程2年の大城勇憲(物理学専攻 山口弘悦研究室所属)を中心とする国際研究チームは、1999年にESAが打ち上げたX線天文衛星XMM-Newtonを用いた超新星残骸3C 397の観測により、Ia(いちえー)型超新星爆発を起こす直前の白色矮星の中心密度を決定しました。

鍵となったのは、Ia型超新星およびその残骸から史上初めて検出された50Ti (チタン50)や54Cr(クロム54) などの中性子過剰同位体です。これらの同位体は、爆発する白色矮星の中心密度が高いほど効率的に作られます。研究チームはこの性質を利用することで、3C 397を生み出した白色矮星の中心密度が、一般的なIa型超新星爆発を起こす白色矮星の中心密度と比べて約3倍も高かったことを明らかにしました。これは、宇宙の距離測定の「ものさし」として利用されるIa型超新星の多様性を示す新たな証拠です。

今後は多様性のさらなる理解を通じて「ものさし」の信頼性を高めることにより、宇宙膨張の歴史をより精緻に解明できると期待されます。また本成果は、太陽系形成期に作られた隕石「炭素質コンドライト」に見られる中性子過剰同位体の起源特定にも有力な手がかりを与えました。

本研究成果は米国天文学会が発行する学術誌「Astrophysical Journal Letters」において、2021年6月4日(金)付オンライン版に公開されました。

図(a):超新星残骸3C 397のX線画像。それぞれ赤色が鉄、緑がシリコンの空間分布を示しており、青色は鉄に対するクロムの空間分布を表す。残骸の南部にクロムが多い(青色が濃い)領域が確認できる。
図(b):左図の白の円内から抽出したX線スペクトル。Ia型超新星の主要生成元素である鉄に加えて、チタン、クロム、マンガン、ニッケルが検出された。(クレジット:ISAS/JAXA, Ohshiro et al.)

 

詳細については、JAXA宇宙科学研究所 のホームページをご覧ください。

 

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―