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Press Releases

DATE2026.10.21 #Press Releases

抗がん剤につながる天然物を生み出す巨大酵素の反応現場を活写

―クライオ電子顕微鏡と2つの分子ツールが明かす天然物生合成の妙―

発表のポイント

  • 抗腫瘍性天然物サフラシンBの複雑な5環性骨格を作り出す非典型的な非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)SacCの立体構造を、クライオ電子顕微鏡を用いて、2.76 Åの高分解能で解明しました。
  • 反応中間体を模倣した共有結合性の分子プローブと、酵素を安定化するパートナータンパク質(MbtH様タンパク質)SacEという2つの要素を鍵とし、SacC–SacE–分子プローブ複合体を形成させることで、単独では凝集し構造解析が困難であった単量体型NRPSの反応状態を高分解能で捉える手法を確立しました。
  • 一般的なNRPSのペプチド結合形成を担う縮合(C)ドメインとは異なり、炭素–炭素結合を新たに作り出す特殊なPictet–Spengler(PS)ドメインの立体構造を世界で初めて可視化するとともに、アデニル化ドメインが特殊な非タンパク質構成アミノ酸を選択的に認識する分子機構を解明しました。

非リボソームペプチド合成酵素 SacC の立体構造解明
反応中間体を模倣した分子プローブ(鍵1)と酵素を安定化するパートナータンパク質SacE(鍵2)を組み合わせ、クライオ電子顕微鏡を用いて、巨大酵素SacCの立体構造を2.76 Åの高分解能で解明した。

概要

東京大学大学院理学系研究科の原口尚人氏(研究当時:博士課程)、谷藤涼助教、大栗博毅教授は、東北大学大学院生命科学研究科の高橋奏実氏(研究当時:修士課程)、松田夏奈氏(修士課程)、本多葵一氏(研究当時:修士課程)、田中良和教授(未来型医療創成センター兼任)、北里大学理学部の松井崇准教授、北海道大学大学院水産科学研究院の横山武司准教授、独ミュンスター大学のChristos Gatsogiannis教授らと共同で、アミド結合形成を担う一般的な非リボソームペプチド合成酵素(NRPS(注1) )とは異なり、抗腫瘍性天然物(注2)サフラシンB(注3) の複雑な5環性骨格を作り出すNRPS SacCについて、その反応中間状態の立体構造を、クライオ電子顕微鏡(注4)を用いて2.76 Åの高分解能(注5) で解明しました。反応中間体を模倣した共有結合性の分子プローブ(注6)と、酵素を安定化するパートナータンパク質(MbtH様タンパク質(注7))SacEを組み合わせることで、この構造解析を実現しました。

得られた構造は、単量体・単一モジュール(注8)のNRPSとしてはクライオ電子顕微鏡で初めて明らかにされた立体構造で、NRPSを構成する主要ドメイン全体の空間配置に加え、通常のアミド結合(ペプチド結合)形成とは異なる炭素–炭素結合形成(注9)を担う特殊なPictet–Spengler(PS)ドメイン(注10)の立体構造についても世界で初めて可視化しました。さらに、アデニル化ドメイン(注11) が特殊な非タンパク質構成アミノ酸(注12)であるチロシン誘導体を選択的に認識する基質認識機構を明らかにし、SacCが高い基質選択性を示す分子基盤を解明しました。本研究で確立した、分子プローブとパートナータンパク質を組み合わせる構造解析戦略は、SacC以外の多様な天然物合成NRPSにも応用可能と考えられ、構造がダイナミックに変化する巨大酵素の反応機構の解明や、酵素工学を活用した天然物類似の人工化合物の創出とその創薬展開への貢献が期待されます。

発表内容

サフラシンBは、土壌などに生息するグラム陰性細菌シュードモナス(Pseudomonas fluorescens)が生産する抗腫瘍性の天然物であり、臨床で使用される悪性軟部腫瘍の治療薬エクテナサイジン743(トラベクテジン)と共通のビステトラヒドロイソキノリン骨格(注13) を持ちます(図1)。エクテナサイジン743の半合成的供給の原料として用いられ、その生合成機構の解明は創薬シーズの開発にもつながる重要な研究課題です。サフラシンBの母骨格の生合成は、非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)であるSacA・SacB・SacCによって触媒されます。まずSacA・SacBが、グリシン、L-アラニン、脂肪酸(ミリスチン酸等)を原料として、他のNRPSと同様にアミド結合を形成しながらペプチジルアルデヒド中間体を合成します。次いでSacCは、単一のモジュールでありながら、このアルデヒド中間体とチロシン誘導体を基質として、2つの炭素–炭素結合形成を含む7段階の反応を一挙に触媒して複雑な5環性の母骨格を作り上げる、非典型的なNRPSであることが知られていました。しかし、基質となるチロシン誘導体がどのように認識されるのか、また、特殊な環化反応が酵素のどのような立体構造に基づいて進行するのかは、これまで明らかになっていませんでした。

図1. サフラシンB生合成を担う非典型的NRPS SacCの予想生合成機構
天然物サフラシンBとエクテナサイジン743(悪性軟部腫瘍治療薬トラベクテジン)は、共通の母骨格を持つ(左上)。サフラシンBの生合成では、NRPS SacA・SacBがアミド結合の形成を触媒する(右上)。一方、非典型的な単一モジュール型NRPSであるSacCは、2つのC–C結合形成を含む7段階の反応を一挙に触媒して複雑な5環性の母骨格を作り上げる(下)。

SacCによる特殊な反応の構造基盤を明らかにするため、本研究ではまずAドメインによる基質認識の段階に着目しました。Aドメイン(アデニル化ドメイン)はチロシン誘導体を特異的に認識し、ATPを用いてチロシン–AMP中間体を形成し、続く反応に備えます(図2)。NRPSは複数のドメインが柔軟に配置を変えながら反応を進める、構造的な自由度が高い酵素であるため、反応過程で一過的に形成される状態をクライオ電子顕微鏡で捉えることは容易ではありません。そこで本研究では、この課題に対して2つの戦略を組み合わせました。一つは、反応中間体を模倣した分子プローブをSacCに共有結合させ、柔軟なNRPSの配座を特定の状態に固定するというものです。もう一つは、パートナータンパク質SacEの活用です。SacEはsac遺伝子クラスター中にSacA–Cと共にコードされるMbtH様タンパク質と呼ばれる小さなタンパク質です。本研究では、SacEが、単独では凝集しやすいSacCと1対1の複合体を形成することで、SacCの溶解性を大きく改善し、クライオ電子顕微鏡観察に適した分散状態の粒子を与えることを見出しました。

これら2つの戦略に基づき、異なる反応段階を模した3種類の分子プローブを設計・合成しました。東北大学に設置されたクライオ電子顕微鏡CRYO ARM™ 300 II(日本電子製、加速電圧300 kV)を用いて単粒子解析を行ったところ、プローブを結合させていない基本状態のSacC–SacE複合体では、PSドメインの一部とAドメインのコア部分、SacEは2.60 Åの分解能で可視化できたものの、Aドメインの残りの部分やPCP、Redドメインはコンフォメーションの柔軟性のため十分な分解能で構造を決定できませんでした。そこで、チロシン–AMP中間体を模倣し、ホスホパンテテイン鎖のチオール基とのマイケル付加によってチオエステル化状態を共有結合的に固定するプローブを適用したところ、PS、A、PCP、Redの全ドメインが平均2.76 Åの高い分解能で明瞭に可視化された複合体Aの構造が得られました。さらに、天然のチオエステル結合を非還元性のエステル結合に置き換えて下流の中間体を模した2種類のプローブのうち一方が有効に機能し、環化反応前の状態を捉えた複合体Bとして、PSドメインの一部とAドメインのコア部分、SacEを3.17 Åの分解能で可視化しました。

図2. 分子プローブによる反応中間状態の捕捉と複合体構造
(上)Aドメイン(アデニル化ドメイン)はチロシン誘導体を特異的に認識し、チロシン–AMP中間体を形成する。(中)チロシン–AMP中間体等を模倣した分子プローブを用い、プローブ非結合の基本状態(SacC–SacE複合体)と、プローブが結合した2つの反応状態(複合体A・複合体B)を得た。(下)得られた3種の複合体のクライオ電子顕微鏡マップ。PSドメインC-ローブ、Aドメイン、PCP、Red、SacEをそれぞれ色分けして示す。

得られた2.76 Å分解能の複合体A構造では、PCPドメインからAドメインへと連続する明瞭な電子密度が観測され、分子プローブがねらい通りAドメイン活性部位内でホスホパンテテイン鎖を介して共有結合的に捕捉されていることが確認されました(図3)。この結果は、反応中間体を模倣した分子プローブによる状態捕捉という今回の戦略が、意図した通りに機能したことを構造的に裏付けるものです。

さらにこの構造は、SacCがどのようにしてチロシン誘導体を選択的に認識するかという、これまで未解明だった問いにも答えを与えました。SacCのAドメインは、構造や大きさが酷似する天然のL-チロシンやL-DOPAではなく、メチル基とメトキシ基で修飾された非タンパク質構成アミノ酸のチロシン誘導体だけを基質として厳密に選び取ります。構造解析の結果、Pro637・Leu704・Ile737・Gly731が形成する疎水性ポケットがチロシン誘導体側鎖のメチル基やメトキシ基を包み込み、Trp640がメトキシ基の酸素と、Asp738が水酸基と、Asp636がアミノ基とそれぞれ水素結合を形成することで、わずかな構造の違いを見分けていることが明らかになりました。この認識機構は、生体内で生合成される特殊なアミノ酸をNRPSが基質として取り込むための分子基盤を示すものであり、将来的な酵素改変によるNRPSの基質特異性の制御や、天然物に類似した人工誘導体の化学-酵素合成にも応用しうる知見といえます。

図3. SacC–SacE–分子プローブ(複合体A)の全体構造とチロシン誘導体認識機構
(上)複合体A(SacC–SacE–分子プローブ、2.76 Å)のクライオ電子顕微鏡マップとモデル構造。PS、Red、Aドメイン、PCP、SacEの立体配置を2方向から示す。(左下)Aドメイン活性部位に共有結合的に捕捉された分子プローブの模式図とクライオ電子顕微鏡解析で捉えられた密度マップ。(右下)チロシン誘導体認識部位の詳細。疎水性ポケットと複数の水素結合によって、チロシン誘導体を選択的に認識する。

複合体Aの構造では、PSドメインのN-ローブ部分の電子密度が十分に得られませんでした。そこで、プローブを結合していない基本状態の複合体データを用いてローカルリファインメント(注14)を行ったところ、PSドメインのN-ローブを含む立体構造を約3 Å分解能で決定することに成功しました(図4)。得られたPSドメインは、N-ローブとC-ローブからなるV字型の構造を取っており、通常のNRPSがアミド結合形成を担う縮合(C)ドメイン(注15)とよく似た全体構造をしていることが明らかになりました。一方で、活性部位に位置するモチーフは、典型的なCドメインのHHxxxDGに対してSacCではHPIVVDEとなっており、構成するアミノ酸が大きく異なっていました。モチーフの各残基をアラニンに置換して活性を調べたところ、多くの変異では顕著な影響が見られなかったのに対し、C末端側のAsp153とGlu154の変異体では活性が大きく低下しました。これらの結果は、SacCのPSドメインが、Cドメインと共通する立体構造の枠組みを保持しながら、活性部位のアミノ酸配置の改変により、アミド結合形成とは異なる炭素–炭素結合形成を触媒している可能性を示しています。

図4. PSドメインの局所構造解析と酵素活性に重要なアミノ酸残基の同定
(左上)分子プローブを結合していない複合体のローカルリファインメントにより、PSドメインのN-ローブを含む立体構造を約3 Å分解能で新たに決定した。(左下)PSドメインはN-ローブとC-ローブからなるV字型構造を取り、ラッチ領域(濃赤)とフロアループ(橙)を含む。(右上)PSドメインの活性部位モチーフ(HPIVVDE)と、典型的な縮合ドメイン(LgrA)のモチーフ(HHxxxDG)との比較。(右下)PSドメインモチーフ残基のアラニン置換変異体における活性評価。Asp153・Glu154の変異で活性が大きく低下する。

本研究では、分子プローブとパートナータンパク質SacEを組み合わせることで、単量体・単一モジュールのNRPSであるSacCについて、基質認識からチオエステル化に至る反応状態の全ドメインにわたる立体構造を初めて明らかにしました。さらに、環化反応前の段階を含む複数の反応状態も部分的に捉え、酵素SacCの反応過程を構造的に描き出すことができました。特に、非タンパク質構成アミノ酸を厳密に見分けるAドメインの認識機構と、Cドメインと共通する立体構造の枠組みを保持しながら、通常のアミド結合形成とは異なる炭素–炭素結合形成を触媒するPSドメインの姿は、NRPSがどのようにして多様な化学構造を生み出してきたかを理解する重要な手がかりとなります。今後は、本研究で確立した構造解析基盤を活用し、SacCの反応機構のさらなる解明や、その知見に基づく非天然型ビステトラヒドロイソキノリンアルカロイド類の生合成工学・創薬展開への応用が期待されます。

発表者・研究者等情報

東京大学
 大学院理学系研究科化学専攻
  原口 尚人 研究当時:博士課程
  谷藤 涼 助教
  大栗 博毅 教授

東北大学
 大学院生命科学研究科
  高橋 奏実 研究当時:修士課程
  松田 夏奈 修士課程
  本多 葵一 研究当時:修士課程
  田中 良和 教授(未来型医療創成センター兼任)

北里大学
 理学部
  松井 崇 准教授

北海道大学
 大学院水産科学研究院
  横山 武司 准教授

ミュンスター大学(ドイツ)
  Christos Gatsogiannis 教授

論文情報

雑誌名 Journal of the American Chemical Society
論文タイトル
Cryo-EM Structure of a Monomeric Safracin B Nonribosomal Peptide Synthetase Enabled by an MbtH-Like Protein and Covalent Probe Trapping
著者 Naoto Haraguchi, Kanami Takahashi, Kana Matsuda, Kiichi Honda, Ryo Tanifuji*, Takashi Matsui, Takeshi Yokoyama, Christos Gatsogiannis, Yoshikazu Tanaka*, Hiroki Oguri* (*責任著者)
DOI 10.1021/jacs.6c09555

研究助成

本研究は、科研費「若手研究(課題番号:JP22K14790)」、「基盤研究(C)(課題番号:JP24K08726)」、「国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)(課題番号:JP17KK0141)」、「学術変革領域研究(A)(課題番号:JP21H05260)」、「基盤研究(S)(課題番号:JP23H05470)」、「基盤研究(A)(課題番号:JP22H00346)」、「学術変革領域研究(A)(課題番号:JP22H05127)」、JSPS特別研究員奨励費DC1(課題番号:JP23KJ0690)の支援を受けました。また、JSPS二国間交流事業(JPJSBP120223501)、DAAD(ドイツ学術交流会)二国間共同研究プログラム(No. 57610340)、AMED SCARDA 世界トップレベルワクチン研究開発拠点形成プログラムUTOPIA(JP223fa627001)、AMED BINDS(JP25ama121038)、JST ACT-X(JPMJAX211A)、内藤記念科学振興財団研究助成金、旭硝子財団研究助成金、公益財団法人日本応用酵素協会研究助成金、豊田理研スカラーの支援を受けて実施されました。

用語解説

注1  非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)
微生物などがもつ巨大な酵素で、アミノ酸などの部品を鋳型となるRNAを介さずに直接連結し、複雑な構造をもつペプチド性・非ペプチド性天然物を合成する。一般に、複数の反応ドメインが連結したモジュラーな構造をとる。 ↑

注2   天然物
微生物や植物、海洋生物などの生物が作り出す化合物の総称。特有の立体構造や高い生理活性を持つものが多く、医薬品のリード化合物や創薬シーズとして活用されている。 ↑

注3  サフラシンB
土壌などに生息するグラム陰性細菌Pseudomonas fluorescensが生産する抗腫瘍性の天然物。ビステトラヒドロイソキノリン骨格(注13)をもつ天然物の一つで、臨床で使用される抗がん剤エクテナサイジン743(トラベクテジン)と共通の母骨格をもつ。また、エクテナサイジン743の半合成的供給の原料としても用いられている。 ↑

注4  クライオ電子顕微鏡(cryo-EM)
タンパク質などの生体分子を急速凍結し、電子顕微鏡で観察することで立体構造を明らかにする手法。結晶化が困難な巨大タンパク質複合体の構造解析に威力を発揮する。 ↑

注5  分解能(オングストローム、Å)
クライオ電子顕微鏡などで得られる立体構造の詳細さを表す指標。オングストローム(Å、1 Åは1000万分の1ミリメートル)で表され、値が小さいほど原子レベルに近い精密な構造情報が得られていることを示す。 ↑

注6  分子プローブ(共有結合プローブ)
本研究においては、酵素の反応中間体を模倣した化合物を指す。酵素と共有結合を形成することで特定の反応段階に酵素を固定(トラップ)し、構造解析を可能にする。 ↑

注7  MbtH様タンパク質
NRPSと共に働く小さなパートナータンパク質。NRPSと複合体を形成し、その安定性や触媒活性などを高める働きをもつものが知られている。本研究では、SacEが単独では凝集しやすいSacCと複合体を形成することで、その溶解性を大きく改善した。 ↑

注8  モジュール
NRPSは、基質となるアミノ酸の選択・活性化からアミド結合形成までの一連の反応を担う「モジュール」と呼ばれる機能単位を持つ。 ↑

注9  アミド結合(ペプチド結合)と炭素–炭素結合形成
アミノ酸同士は通常、アミド結合(ペプチド結合)によって連結される。SacCが触媒する反応はこれとは異なり、炭素原子同士を直接つなぐC–C結合の形成を伴う、NRPS中でも珍しい反応様式である。 ↑

注10  ピクテ・スペングラー(PS)ドメイン
ピクテ・スペングラー反応は、アルデヒドとアミンから生じるイミンが分子内で芳香環と環化し、C–C結合を新たに形成する化学反応である。SacCのPSドメインは、この反応を触媒する特殊なドメインであり、通常のNRPSが行うアミド結合形成とは異なるC–C結合形成を担う。 ↑

注11  アデニル化(A)ドメイン
NRPSを構成するドメインの一つで、ATPを用いてアミノ酸などの基質を活性化し、後続の反応へと受け渡す役割を担う。基質となるアミノ酸を選び分ける、いわばNRPSの関所にあたる部分である。 ↑

注12  非タンパク質構成アミノ酸
通常のタンパク質合成には用いられないアミノ酸の総称。SacCが認識するチロシン誘導体もその一つで、メチル基やメトキシ基などの化学修飾を持つ。 ↑

注13  ビステトラヒドロイソキノリン骨格(bis-THIQ骨格)
テトラヒドロイソキノリン骨格が2つ連結した特徴的な分子骨格。サフラシンBやエクテナサイジン743など、強力な抗腫瘍活性を示す天然物にみられる。 ↑

注14  ローカルリファインメント
クライオ電子顕微鏡データの解析手法の一つ。柔軟に動く部分など、全体構造の再構成では分解能が不十分な領域に着目し、その部分に限定して画像処理を行うことで、局所的な分解能を向上させる。 ↑

注15  縮合(C)ドメイン
典型的なNRPSに広く保存されているドメインで、隣接するアミノ酸同士をつなぐアミド結合の形成を担う。SacCのPSドメイン(注10)は、この立体構造の枠組みを保持しながら、通常のアミド結合形成とは異なるC–C結合形成を触媒する。 ↑

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