DATE2025.12.01 #Press Releases
「最適輸送」でエネルギーコストの原理的限界を達成
― 省エネ情報処理の新たな設計につながる成果 ―
私たちが何かを動かすときには、熱力学的なエネルギーコストが伴いますが、そのコストには原理的な最小値があります。コンピュータの情報処理も同様で、たとえば、情報を「消去」するにも、どんなに工夫してもこれ以下には減らせない最小のエネルギーコストが存在します。この限界は動かす速さに応じて変化しますが、これまでは無限にゆっくり操作する場合でのみ実験的に示すことができていました。
東北大学大学院工学研究科の及川晋悟大学院生(研究当時)、中山洋平助教、鳥谷部祥一教授は、東京大学大学院理学系研究科の伊藤創祐准教授、東京大学大学院工学系研究科の沙川貴大教授との共同研究により、光の力で微小粒子を高速・高精度に制御する技術を新たに開発し、数学の「最適輸送理論」が予測する、時間が限られた状況での理論上の最小エネルギーコストで、情報消去に相当する操作を実現しました。将来的に本成果は、よりエネルギー効率の高い情報処理技術の設計原理の確立につながると期待されます。
本成果は2025年12月1日付で総合科学誌Nature Communicationsに掲載されました。

図:(a) 走査型光ピンセット。レーザーを高速で走査して任意形状のポテンシャルを作る。(b) ポテンシャル形状を時間的に変化させて、粒子位置の確率分布を制御し、最適輸送を実現した。
関連リンク
東北大学、東京大学大学院工学系研究科、科学技術振興機構(JST)
発表雑誌
| 雑誌名 |
Nature Communications
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|---|---|
| 論文タイトル |
Experimentally achieving minimal dissipation via thermodynamically optimal transport |

