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Press Releases

DATE2025.10.23 #Press Releases

日米のライバルグループが協力してニュートリノ研究を推進

発表概要

日本のT2K実験と米国のNOvA実験は、データ統合を含む共同解析を実施し、その最初の結果を科学誌Natureに発表しました。両者はいずれも加速器を用いる長基線ニュートリノ振動実験です。この2つの実験が、異なる基線長(ニュートリノの飛行距離)やエネルギー条件を活かした共同解析を実施し、ニュートリノ振動の精密測定を行いました。その結果、ニュートリノの質量の二乗差に関する不確かさを2%未満に縮小することに成功しました。また、3種類のニュートリノの質量順序はまだ不明であるものの、その順序によっては粒子・反粒子間の対称性であるCP対称性の破れの大きさに大きな制限がかかることがわかりました。今回の成果は、ニュートリノのCP対称性の破れや宇宙における物質・反物質非対称の起源を解明する上で重要な一歩となります。今回の共同解析は、2010年から10年間のT2Kデータと、2014年から6年間のNOvAデータを統合したもので、競合しながらも補完し合う2つの国際共同実験の協力体制を示す成果でもあります。

T2K実験国際共同研究グループは、世界15の国・国際機関にある76の研究機関から、約560人の研究者が参加する国際共同研究グループです。日本からは、大阪公立大学・岡山大学・京都大学・慶應義塾大学・高エネルギー加速器研究機構・神戸大学・総合研究大学院大学・東京科学大学・東京都立大学・東京大学・東京大学宇宙線研究所・東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構・東京理科大学・東北大学・富山大学・宮城教育大学・横浜国立大学の研究者と大学院生総勢約130名が参加しています。

NOvA 実験国際共同研究グループは、世界8か国49機関から250人以上の研究者が参加しています。


図:T2K実験(左)とNOvA実験(右)の概要

関連リンク

高エネルギー加速器研究機構宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設、J-PARCセンター、大阪公立大学、富山大学

発表雑誌

雑誌名
Nature
論文タイトル

Joint neutrino oscillation analysis of data from the T2K and NOvA experiments