DATE2025.09.18 #Press Releases
宇宙最遠方の「死にゆく巨大銀河」で輝く巨大ブラックホール
ーすばる×JWSTが捉えた、急速な共進化の新たな証拠ー
発表概要
東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU, WPI)の尾上匡房客員准科学研究員(研究当時は特任研究員兼Kavli IPMU-KIAA天体物理学フェロー、現早稲田大学高等研究所講師)とJohn Silverman教授、 武漢大学のXuheng Ding (シューヘン ディン) 教授を中心とし、東京大学理学系研究科、愛媛大学、立命館大学、国立天文台の研究者らも参加する国際共同研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて129億年前の宇宙に存在する活動的なブラックホール(クェーサー)を観測しました。
解析の結果、ブラックホールの親銀河が数億年前に既に大質量銀河へと成長したのち、その後星形成活動を急速に止めつつある、言わば「死にゆく段階」にある天体を2つ発見しました。こうした劇的な変化は、中心ブラックホールが周りの物質を吸い込む過程で放つ強い放射によって引き起こされた可能性があります。今回の発見は、初期宇宙で最も早く成長した銀河の進化過程で、巨大ブラックホールの活動が大きな役割を果たしたことを示す貴重な証拠であり、初期宇宙における銀河とブラックホールの複雑な共進化史をひも解くための新たな道を切り拓くものです。
これらのクェーサーはいずれも、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム, HSC)による広域探査で発見された天体です。今回の成果は、世界屈指の広視野観測能力を誇るすばる望遠鏡と、赤外線で最高感度を実現するJWSTとを組み合わせることで実現したものです。本研究成果は、英国の国際学術誌 「Nature Astronomy」のオンライン版に2025年8月11日付で掲載されました。
図:星形成活動が停止期に向かう成熟した銀河(左)と、その中心で輝くクェーサー(右)。両図とも想像図(Credit:Kavli IPMU)
Links
Kavli IPMU、愛媛大学、早稲田大学、国立天文台ハワイ観測所
発表者・研究者等情報
天文学専攻 柏川伸成教授、ほか
論文情報
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雑誌名 Nature Astronomy 論文タイトル A post-starburst pathway for the formation of massive galaxies and black holes at z > 6DOI番号 10.1038/s41550-025-02628-1

