DATE2025.09.17 #Press Releases
強磁性材料における面内異常ホール効果の発見
-軌道磁化とスピン磁化の非対角結合を実証-
発表概要
東京科学大学(Science Tokyo)理学院 物理学系の打田正輝准教授の研究グループは、同大学 理学院 物理学系の石塚大晃准教授の研究グループ、および東京大学 大学院理学系研究科 有田亮太郎教授(兼:理化学研究所 創発物性科学研究センター チームディレクター)の研究グループと共同で、面内方向に磁化を持つ強磁性材料における異常ホール効果の観測に成功しました。
ホール効果は、磁場によって電子の流れが曲げられる現象であり、固体中の電子伝導現象の理解に不可欠な要素として、100年以上にわたって研究と応用の両面で重要な役割を果たしてきました。これまで、ホール効果は主に電流が流れる面に垂直な面直磁場や、それに対応する面直スピン磁化によって引き起こされると理解されており、ホールセンサなど多くの電子デバイスもその枠組みに基づいて設計されてきました。しかし本研究では、バンド構造にワイル点を持つストロンチウムルテニウム酸化物(SrRuO3)の極薄膜を用いることで、面内方向に自発的なスピン磁化を持つ状態を実現し、磁場を印加しなくても面直方向に軌道磁化が顕在化した異常ホール効果が発現することを明らかにしました。磁場の天頂角や方位角を制御しながら測定を行うことで、ホール抵抗率がスピン磁化の向きに応じて規則的に変化することを確認し、軌道磁化とスピン磁化の非対角的な結合がこの効果の本質であることが示されました。この成果は、ホール効果に対する従来の常識を覆すものであり、軌道磁化に基づく電子物性の新たな理解と応用の可能性を大きく拓くものです。
本研究成果は、「Advanced Materials」に2025年9月16日(米国東部時間)に掲載されました。

図:特定の磁場方位角における異常ホール抵抗率の面内磁場依存性(上)と、磁場天頂角を面直方向から面内方向へと変えながら、それぞれの天頂角において磁場を9Tまで印加したあとゼロに戻してホール抵抗率を測定した結果(下)。
関連リンク
東京科学大学、理化学研究所、豊田理化学研究所、科学技術振興機構(JST)
発表雑誌
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雑誌名 Advanced Materials論文タイトル Spontaneous in-plane anomalous Hall response observed in a ferromagnetic oxide

