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Press Releases

DATE2025.07.30 #Press Releases

世界初、機能性酸化物の新しい電子状態を発見

-未来の高機能エレクトロニクス材料開発の糸口-

発表概要

東京大学大学院工学系研究科の関 祐一大学院生(修士課程2年:研究当時)、稲垣 洸大大学院生(修士課程2年:研究当時)、武田 崇仁大学院生(博士課程3年:研究当時)、田中 雅明教授、小林 正起准教授(研究当時)らの研究グループとNTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下、NTT)は、東京大学大学院理学系研究科の藤森 淳東京大学名誉教授、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の竹田 幸治研究主幹、藤森 伸一グループリーダーらと共同で、強磁性(磁石)の性質を持つ金属であるストロンチウムルテニウム酸化物SrRuO3[Sr(ストロンチウム)、Ru(ルテニウム)、O(酸素)からなる化合物]の電子状態を放射光による光電子分光を用いて調べ、酸素原子の電子軌道が強い電子相関により陽イオンRuの電子軌道と異なった電子状態を持っていることを世界で初めて明らかにしました。陽イオンの遷移金属原子と陰イオンの酸素原子から作られる機能性酸化物は、磁性・誘電性・超伝導性などさまざまな物性の宝庫であり、次世代エレクトロニクス材料として基礎・応用の両面から精力的に研究されてきました。機能性酸化物の物性は、フェルミエネルギーにおける電子の振る舞い(電子状態)によって決定されますが、これまで一般に、遷移金属と酸素の電子軌道は強く混成し、類似した電子状態を持つと考えられてきました。本成果は、従来の酸化物研究の常識や標準モデルでは予測されてこなかった結果であり、今後、機能性酸化物やそれらを用いた素子設計に重要な指針を与える成果です。

本成果は、2025年7月25日(米国東部夏時間)に米国学術誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載されました。

機能性酸化物SrRuO3における各電子軌道の伝導電子:SrRuO3のRu 4d-O 2p混成軌道における電子間の相互作用(電子相関)が電子軌道に依存することが明らかになった。Ru 4d軌道(赤色四つ葉型の軌道)では電子相関が弱く、この軌道の電子(赤色)が主に電気伝導に寄与する(赤色破線の矢印)。一方、O 2p軌道(青色亜鈴型の軌道)では電子相関が強いために電子(青色)はO 2p軌道に局在し、電気伝導にはほぼ寄与しない(電子同士の散乱によりサイト間を移動する(青色破線の矢印))。

関連リンク

東京大学大学院工学系研究科NTT株式会社、日本原子力研究開発機構

発表雑誌

雑誌名
Physical Review Letters
論文タイトル

Correlated Ligand Electrons in the Transition-Metal Oxide SrRuO3