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Press Releases

DATE2024.09.12 #Press Releases

最も単純な「原子」ポジトロニウムをレーザー光によって1000万分の1秒で極低温にすることに成功

——反粒子を含む原子の精密科学によって物理学の謎にせまる大きな第一歩——

発表概要

東京大学大学院工学系研究科の吉岡孝高准教授、周健治助教と、同大学大学院理学系研究科の石田明助教らによる研究グループは、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所、産業技術総合研究所と共同で、レーザー光によるポジトロニウムの急速な冷却を世界で初めて実現しました。

独自に開発したレーザー光源を使用することで、理論提案から30年の間実現が待たれていたポジトロニウムのレーザー冷却に成功し、わずか1000万分の1秒の間に、従来よりも桁違いに低温の気体にできることを証明しました。物理学は、宇宙に反粒子がほとんど残っていないことや、暗黒物質の起源など、多くの謎を抱えています。これを解決するため、基礎理論の綻びがどこにあるのかを検証する研究が世界中で進められています。本研究成果は、電子とその反粒子だけでできた最も基本的な原子を使って、基礎理論が現実をどこまで正確に表現できているのか、さらには反粒子の質量や重力の影響を精密に調べる研究を可能とするもので、今後大きな学際的研究分野の形成が期待されます。


図:波長が高速に変化するレーザー光の列によって照射されたポジトロニウムが、真空中で瞬時に冷却される概念図

関連リンク:東京大学大学院工学系研究科東京大学素粒子物理国際研究センター高エネルギー加速器研究機構産業技術総合研究所

発表雑誌

雑誌名
Nature
論文タイトル