DATE2024.07.04 #Press Releases
中性子、陽子それぞれ3個ずつは原子核として不安定と実験で証明
─自然界の強い力を理解する重要なヒントが得られる─
発表概要
自然界には、重力、電磁力、弱い力、強い力という4種類の力が存在しますが、強い力が支配する原子核の世界は分かっていないことだらけです。近年、原子核を構成する核子である中性子だけ、また陽子だけを凝集した系を人工的に生成し、安定かどうかを調べる研究が進められています。先行研究で、二中性子系と四中性子系の準安定性を示唆する実験結果が得られています。しかし強い力の理解を進めるために必要な核子数3の系の安定性は未解決となっていました。
東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの今井伸明准教授が参加する、東北大学大学院理学研究科の三木謙二郎准教授らによる共同研究グループは、三個の中性子のみ、三個の陽子のみから成る量子系を生成しその不安定性を明らかにしました。この成果は、宇宙に多数存在している中性子星をミクロな立場から明らかにするためにも重要であり、星の進化や元素を合成する過程の解明にもつながります。実験は、本研究グループが富山大学水素同位体科学研究センターで開発した世界最高厚のトリチウム吸蔵チタン標的と、理化学研究所仁科加速器科学研究センターRIビームファクトリー、大阪大学核物理研究センターという2つの加速器施設を駆使して展開されました。
研究成果は、米国物理学会誌 Physical Review Letters に、2024年7月4日(日本時間)にオンライン公開されました。
図:本研究で観測した原子核反応の概念図
3Hがトリチウム原子核、3Heがヘリウム3原子核を示す。左図、右図の測定をそれぞれ理化学研究所仁科加速器科学研究センターRIビームファクトリー、大阪大学核物理研究センターで実現した
詳しくは、東北大学 のホームページをご覧ください。
発表雑誌
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雑誌名 Physical Review Letters論文タイトル