DATE2024.05.24 #Press Releases
機能性反強磁性体ナノ細線の磁気イメージング
―簡易的・高空間分解能の新手法を用いて―
発表概要
東京大学物性研究所の一色弘成 助教、ニコ ブダイ 大学院生、小林鮎子 大学院生(研究当時)、上杉良太 大学院生(研究当時)、大谷義近 教授(理化学研究所創発物性科学研究センターチームリーダー兼任)、東京大学大学院理学系研究科の肥後友也 特任准教授、中辻知 教授による研究グループは、超簡易的な新手法で反強磁性ワイル半金属の磁気分極を可視化することに成功しました。同グループが2023年に開発した、微小な針から試料に熱流を注入し局所的な磁気熱電効果の応答を検出して磁気像を得る方法(図)を用いて、Mn3Snのナノ細線(ナノは10億分の1)に対して磁気イメージングを行いました。従来の方法では調べることができなかったナノスケール試料の磁気イメージングを実現したことで、微小サイズに加工されたMn3Snの磁気的振る舞いを明らかにしました。超高速・超省電力な情報通信・演算や超高感度なセンシングを実現する次世代スピントロニクス素子の開発には、微細加工された物質の磁気的振る舞いの理解は不可欠であり、今後の研究開発への貢献が見込まれます。
本成果は、米国の科学雑誌「Physical Review Letters」5月23日付(現地時間)のオンライン版に掲載されました。
図:磁気熱電効果(左)と磁気イメージング新手法の概略図(右)
左:生じる電圧(V)は、磁気分極と熱流との外積に比例する。 右:熱流を注入した際に発生した磁気熱電信号(V)を測定することで、磁気分極の方向を調べることができる。
詳しくは、東京大学物性研究所 のホームページをご覧ください。
関連リンク:
理化学研究所、科学技術振興機構(JST)
発表雑誌
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雑誌名 Physical Review Letters 論文タイトル