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Press Releases

DATE2024.04.04 #Press Releases

破壊的に突かれた縄文人の頭骨を発見

――縄文時代の暴力の実態を探求するための新資料――

東京大学

発表概要

東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻の平野力也大学院生は、1920年に岡山県で発掘された縄文人の頭骨に、鋭利な刺突具で破壊的に孔をあけた痕跡があることを発見し、東京大学総合研究博物館の海部陽介教授とともにその成果を報告しました。

この頭骨は縄文時代前期(約6000年前)の成人女性のもので、額にある孔を肉眼観察とCTスキャンを用いて法医人類学的基準で診断したところ、利器の刺突(現代であれば銃撃を含む)によってできる典型的な形状を示していることがわかりました(図)。合わせて既報告の3例についても同様の検討を行い、縄文人の頭骨に、円形や楕円形の孔が多方向からあけられている実態を記載しました。その解釈にはなお慎重を要しますが、これまで論じられてきた暴力行為以外に、死後の儀礼的行為の可能性を検討する必要性を指摘しました。

今回の発見は、既存の縄文人骨コレクションの中になお未報告の類例が存在することを予見させるもので、縄文時代における暴力行為の実態解明に向けた研究の、新たな開始点となります。


図:羽島6・7a号の頭骨全体像(A)。左前頭部の楕円孔の拡大(B)。孔から放射状に走るひび割れは、人為的損傷を示す特徴の1つ。

詳しくは、東京大学大学総合研究博物館 のホームページをご覧ください。

発表雑誌

雑誌名
Anthropological Science (Japanese Series)
論文タイトル