DATE2023.10.20 #Press Releases
ミュー粒子の崩壊で素粒子の大統一に迫る
――ミュー粒子稀崩壊探索で宇宙の始まりの素粒子大統一を探るMEG II実験――
東京大学素粒子物理国際研究センター
東京大学大学院理学系研究科
発表概要
東京大学、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、神戸大学を中核とする、日本・スイス・イタリア・米国・英国等による国際共同実験コラボレーションMEG IIは、独自に開発した高性能検出器と、スイス・ポールシェラー研究所(PSI)の世界最大強度のミュー粒子ビームを用いて、ミュー粒子の稀な崩壊現象ミューイーガンマ(μ→eγ)(図1、図2)の探索実験を2021年9月終わりに開始した。今回は、2021年に取得した最初のデータを用いて行ったミューイーガンマ崩壊の探索について発表する。結果として発見には至らず、以前のMEG実験の結果と合わせて、ミューイーガンマの起こる確率についてこれまでにない厳しい制限(3兆回に1回の頻度)を与えた。本研究は、宇宙誕生時に実現していたと考えられる素粒子の大統一に迫ろうとするものである。MEG II実験は現在も継続中で、既に取得済みの2022年のデータでMEG実験の探索感度を大きく上回る見込みで、今年度内にその探索結果を公表することを予定している。今後2026年までデータ取得を継続し、最終的にはMEG実験の約10倍の探索感度(17兆に1回の頻度)を実現して、ミューイーガンマ崩壊の探索・発見を通して、宇宙誕生時の素粒子大統一を検証していく。
図1:MEG II実験装置
図2:ミュー粒子の通常の崩壊(左)と大統一理論が予言するミューイーガンマ崩壊(右)
ミューイーガンマ崩壊では、超対称粒子などの非常に重い未知の新粒子が寄与している。
詳しくは、東京大学素粒子物理国際研究センター のホームページをご覧ください。