DATE2023.06.20 #プレスリリース
重い星は軽い種からできる
国立天文台
東京大学大学院理学系研究科
発表概要
東京大学/国立天文台の大学院生 森井嘉穂氏、国立天文台のパトリシオ・サヌエーサ特任助教、中村文隆准教授らの国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、太陽よりも8倍以上の質量をもつ星、大質量星が誕生すると期待される領域でこれまでにないほど多くの”星の種”を発見しました。このような統計的に有意なサンプルを用いることで、天文学の未解決問題の一つである、大質量星がどのようにできるのかを議論することが可能になりました。過去最大のサンプルを注意深く調べることで、雲に埋もれていた星の種の質量や密度、分布などを明らかにしました。従来の小質量星形成モデルでは、星の種は形成される星の質量の2~3倍ほど重い必要がありますが、それとは矛盾して、大質量星形成には、星の種がガスをさらに集める必要があることが分かりました。
この研究成果はKaho Morii et al. “The ALMA Survey of 70μm Dark High-mass Clumps in Early Stages (ASHES). IX. Physical Properties and Spatial Distribution of Cores in IRDCs”として、米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に2023年6月20日(米国東部時間)付で掲載されます(doi:10.3847/1538-4357/acccea.)
図:アルマ望遠鏡で明らかになった赤外線暗黒星雲の内部構造の想像図。星の材料であるガスと塵の分布を、密度が高くなるにつれ青から白色で表している。形成されたばかりの赤ちゃん星の中には、ガスを噴出するものがあり、ピンク色で表されている。Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), K. Morii et al.
詳しくは、国立天文台 およびALMAプロジェクトのホームページをご覧ください。